【2025年版】トライアル雇用助成金の概要・条件・申請方法まとめ
「未経験者を採用したいけど、ミスマッチが心配…」 「就職氷河期世代の方を雇用したいが、スキルが不安…」 「障害者雇用を進めたいけど、どう接していいか分からない…」
そんな経営者・人事担当者の方に朗報です!トライアル雇用助成金を活用すれば、一定期間の試行雇用を通じて、労働者の適性や能力を見極めながら、常用雇用への移行を進めることができ、その期間の賃金の一部を国から支援してもらえます。
この記事では、初めて助成金を検討する方でも分かるように、トライアル雇用助成金の仕組みから申請方法まで、2025年最新版の情報をわかりやすく解説します。
この助成金が向いている事業主
トライアル雇用助成金は、以下のような事業主の方に特におすすめです:
✅ 採用のミスマッチを減らしたい事業主
・お互いを理解してから本採用したい
・未経験者でも可能性があれば採用したい
・慎重に採用を進めたい
✅ 就職困難者の雇用を検討している事業主
・就職氷河期世代を積極採用したい
・長期失業者に機会を提供したい
・母子家庭の母等を支援したい
✅ 障害者雇用を推進したい事業主
・障害者の特性を理解してから本採用したい
・職場環境の整備期間が欲しい
・法定雇用率達成を目指したい
✅ 若年者・高齢者の雇用を進めたい事業主
・新卒採用以外の若者を採用したい
・55歳以上の方の経験を活かしたい
【目次】
1.トライアル雇用助成金とは
トライアル雇用助成金は、職業経験の不足などから就職が困難な求職者を、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により、原則3か月間試行雇用(トライアル雇用)する事業主に対して助成する制度です。労働者の適性を確認した上で常用雇用へ移行することができ、ミスマッチを防ぐことができます。
厚生労働省が管轄し、ハローワークおよび各都道府県労働局が窓口となって運営されています。
2.助成金の3つのコース
1. 一般トライアルコース
職業経験、技能、知識の不足等から安定的な就職が困難な求職者を試行雇用する事業主を支援
対象労働者
- 2年以内に2回以上離職または転職を繰り返している者
- 離職している期間が1年を超えている者
- 妊娠、出産または育児を理由として離職し、安定した職業に就いていない期間が1年を超えている者
- 55歳未満でハローワーク等において担当者制による個別支援を受けている者
- 就職氷河期世代(35歳以上55歳未満)で、正規雇用労働者として雇用されることを希望している者
助成額
- 月額4万円(最長3か月)
- 対象者が母子家庭の母等または父子家庭の父の場合:月額5万円
2. 障害者トライアルコース
就職が困難な障害者を一定期間雇用し、その適性や業務遂行可能性を見極め、相互理解を促進する事業主を支援
対象労働者
- 身体障害者
- 知的障害者
- 精神障害者
- 発達障害者
- 高次脳機能障害者
- 難治性疾患患者
助成額
- 月額4万円(最長3か月、精神障害者は最長6か月)
- 精神障害者を初めて雇用する場合:月額8万円(最長3か月)
3. 若年・女性建設労働者トライアルコース
建設業の中小事業主が若年者(35歳未満)または女性を建設技能労働者等として試行雇用する場合に支援
対象労働者
- 35歳未満の若年者
- 女性(年齢不問) ※いずれも建設技能労働者等として雇用する場合
助成額
- 月額4万円(最長3か月)
- 建設業の中小事業主に限定
3.共通の要件
対象事業主の要件
- ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等にトライアル雇用求人を提出していること
- トライアル雇用労働者を常用雇用することを前提として試行雇用すること
- トライアル雇用開始日の前日から過去6か月間に労働者を解雇していないこと
- 労働保険料を滞納していないこと
トライアル雇用の要件
- 原則3か月間の有期雇用契約を締結すること
- 1週間の所定労働時間が30時間以上であること
- トライアル雇用期間中の賃金は、通常の労働者に適用される賃金と同額以上であること
4.申請の流れ
1. トライアル雇用求人の提出
ハローワークまたは職業紹介事業者に求人を提出します。
ポイント
- 「トライアル雇用併用求人」として提出
- 常用雇用後の労働条件も明示
2. 対象者の紹介・選考
ハローワーク等から対象者の紹介を受け、選考を実施します。
選考時の注意点
- 対象者要件の確認
- トライアル雇用であることの説明
3. トライアル雇用開始
有期雇用契約(原則3か月)を締結し、雇用を開始します。
実施計画書の提出
- 雇用開始日から2週間以内にハローワークに提出
4. トライアル雇用期間中の実施
対象労働者の適性や能力を見極めます。
期間中の留意点
- 適切な指導・教育の実施
- 定期的な面談による相互理解促進
- 常用雇用移行の判断
5. 支給申請
トライアル雇用期間終了後、助成金の支給申請を行います。
申請期限
- トライアル雇用期間終了日の翌日から起算して2か月以内
必要書類
- 支給申請書
- 雇用契約書(写)
- 出勤簿(写)
- 賃金台帳(写)
- トライアル雇用結果報告書
5.2025年度の主な変更点・注意事項
- 就職氷河期世代支援の継続・強化
- 精神障害者の雇用促進に向けた助成額の拡充
- DX人材など新たな職種への対応
- オンライン申請システムの利用推進
6.よくある質問
Q1. トライアル雇用期間終了後、必ず常用雇用しなければいけませんか?
A.いいえ、トライアル雇用の結果、適性が合わない場合は常用雇用への移行を見送ることも可能です。ただし、恣意的な不採用は認められません。
Q2. トライアル雇用期間を延長できますか?
A.原則3か月ですが、精神障害者の場合は最長6か月まで延長可能です。その他の場合、やむを得ない理由があれば1か月の延長が認められることがあります。
Q3. トライアル雇用期間中の社会保険加入は必要ですか?
A.はい、通常の労働者と同様に、加入要件を満たす場合は社会保険への加入が必要です。
Q4. 複数人を同時にトライアル雇用できますか?
A.はい、可能です。それぞれの対象労働者について要件を満たせば、複数人の同時雇用も助成対象となります。
7.まとめ
トライアル雇用助成金は、採用のミスマッチを防ぎながら、多様な人材の雇用機会を創出できる優れた制度です。特に人手不足が深刻化する中、就職困難者や障害者など、これまで採用を躊躇していた層にも目を向けることで、新たな人材確保の道が開けます。
3か月という試行期間を有効に活用し、お互いの理解を深めることで、長期的な雇用関係の構築が期待できます。まずはハローワークに相談し、自社に合った活用方法を検討してみましょう。
最新の情報や詳細な要件については、厚生労働省のホームページや最寄りのハローワーク・労働局でご確認ください。
※本記事の内容は2025年1月時点の情報に基づいています。制度は変更される可能性がありますので、申請時は必ず最新情報をご確認ください。