【2025年版】高年齢者雇用安定助成金の概要・条件・申請方法まとめ
「定年後も働きたい従業員を継続雇用したいが、制度整備が…」 「高齢者が働きやすい環境を作りたいけど、改修費用が高額で…」 「シニア人材の経験を活かしたいが、どう活用すればいいか…」
そんな経営者・人事担当者の方に朗報です!高年齢者雇用安定助成金を活用すれば、高年齢者の雇用環境整備や雇用機会の拡大に必要な費用を国から支援してもらえます。
この記事では、初めて助成金を検討する方でも分かるように、高年齢者雇用安定助成金の仕組みから申請方法まで、2025年最新版の情報をわかりやすく解説します。
この助成金が向いている事業主
高年齢者雇用安定助成金は、以下のような事業主の方に特におすすめです:
✅ 定年延長・継続雇用を検討している事業主
・70歳まで働ける制度を作りたい
・定年を廃止したい
・継続雇用制度を充実させたい
✅ 高齢者の職場環境を改善したい事業主
・バリアフリー化を進めたい
・高齢者向けの設備を導入したい
・作業を高齢者向けに改善したい
✅ シニア人材を積極活用したい事業主
・高齢者の経験・技能を活かしたい
・人手不足を高齢者雇用で解決したい
・多世代が活躍できる職場にしたい
✅ 高齢者の新規雇用を進めたい事業主
・60歳以上の方を新たに雇用したい
・高齢者向けの新規事業を立ち上げたい
【目次】
1.高年齢者雇用安定助成金とは
高年齢者雇用安定助成金は、高年齢者が年齢に関わりなく働き続けることができる「生涯現役社会」の実現を目指し、高年齢者の雇用環境の整備や雇用機会の拡大を行う事業主を支援する制度です。
厚生労働省が管轄し、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)および各都道府県労働局が窓口となって運営されています。
2.助成金の2つのコース
1. 高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
高年齢者の雇用管理制度の整備等に係る措置を実施した事業主を支援
対象となる措置
- 高年齢者の職業能力評価制度の導入・改善
- 高年齢者の賃金・人事処遇制度の導入・改善
- 高年齢者の労働時間制度の導入・改善
- 高年齢者専用の作業設備・機器の導入
- 高年齢者の健康管理制度の導入
助成額
- 支給対象経費の60%(中小企業以外は45%)
- 上限額:中小企業100万円、中小企業以外75万円
- 生産性要件を満たす場合:75%(中小企業以外は60%)
2. 高年齢者無期雇用転換コース
50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用に転換した事業主を支援
対象労働者
- 50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者
- 転換日において64歳以下の者
- 派遣労働者でないこと
助成額(1人あたり)
- 中小企業:48万円(生産性要件を満たす場合60万円)
- 中小企業以外:38万円(生産性要件を満たす場合48万円)
- 1事業所あたり10人まで
3.65歳超雇用推進助成金
65歳超継続雇用促進コース
65歳以上への定年引上げ、定年の定めの廃止、66歳以上の継続雇用制度の導入等を実施した事業主を支援
助成額の例(定年引上げ) 60歳定年を65歳に引上げた場合(対象被保険者数による):
- 1〜3人:30万円
- 4〜6人:50万円
- 7〜9人:85万円
- 10人以上:120万円
70歳への引上げや定年廃止の場合はさらに高額
高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
(前述の内容と同様)
高年齢者無期雇用転換コース
(前述の内容と同様)
4.共通の要件
対象事業主の要件
- 雇用保険適用事業所の事業主であること
- 高年齢者雇用確保措置を講じていること
- 高年齢者雇用管理に関する措置を実施していること
- 支給申請日の前日から過去6か月間に解雇等をしていないこと
計画の認定
- 事前に雇用管理改善計画等を作成し、認定を受ける必要がある
- 計画期間は1年以内
5.申請の流れ
1. 計画の作成・申請
実施する措置の内容を含む計画を作成し、機構または労働局に申請します。
計画に含める内容
- 実施する措置の内容
- 実施期間
- 対象労働者数
- 必要経費の見込み
2. 計画の認定
機構または労働局で審査後、認定通知が送付されます。
認定基準
- 措置の内容が適切であること
- 実現可能性があること
- 高年齢者の雇用促進に資すること
3. 措置の実施
認定された計画に基づいて措置を実施します。
実施時の注意点
- 計画どおりに実施すること
- 変更がある場合は事前に変更申請
- 証拠書類の保管
4. 支給申請
計画期間終了後、支給申請を行います。
申請期限
- 計画期間終了日の翌日から起算して2か月以内
必要書類
- 支給申請書
- 実施結果報告書
- 経費支出を証明する書類
- 対象労働者の雇用状況を証明する書類
6.2025年度の主な変更点・注意事項
- 70歳就業時代に向けた支援強化
- 高年齢者の多様な働き方への対応
- デジタル化に対応した高齢者向け研修の重視
- 健康経営と連動した取組への加点
7.よくある質問
Q1. 定年延長と継続雇用制度の違いは何ですか?
A.定年延長は定年年齢自体を引き上げることで、継続雇用制度は定年後も引き続き雇用する制度です。助成金額や要件が異なります。
Q2. 高年齢者を新規雇用する場合も対象になりますか?
A.このコースは主に既存の高年齢労働者が対象ですが、特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)で新規雇用が支援されます。
Q3. 設備改善にはどのようなものが含まれますか?
A.階段の手すり設置、照明の改善、作業台の高さ調整、軽量化された工具の導入など、高年齢者の身体的負担を軽減する設備が対象です。
Q4. 65歳超雇用推進助成金との違いは何ですか?
A.65歳超雇用推進助成金は定年制度等の見直しが中心で、高年齢者雇用安定助成金は雇用管理改善や無期転換が中心です。
8.まとめ
高年齢者雇用安定助成金は、少子高齢化が進む中で、高年齢者の豊富な経験と能力を活かし、年齢に関わりなく働き続けられる職場づくりを支援する重要な制度です。
人生100年時代を迎え、70歳現役社会の実現に向けて、高年齢者が安心して働ける環境整備は企業の社会的責任でもあり、人材確保の観点からも重要な経営課題となっています。
各コースの特徴を理解し、自社の状況に合った活用方法を検討することで、高年齢者も企業も共にメリットを享受できる職場づくりを進めましょう。
最新の情報や詳細な要件については、高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)や最寄りの労働局でご確認ください。
※本記事の内容は2025年1月時点の情報に基づいています。制度は変更される可能性がありますので、申請時は必ず最新情報をご確認ください。