国の補助金 vs 地方自治体の補助金|5,000万円投資で本当に有利なのはどっち?

  • 【目次】
  1. 1. 国の補助金と地方自治体の補助金の基本的な違い
  2. 2. 補助額で比較:5,000万円投資でいくら獲得できるか
  3. 3. 採択率で比較:どちらが採択されやすいか
  4. 4. 申請難易度で比較:手続きの複雑さと必要書類
  5. 5. 併用戦略:国と地方を組み合わせて最大1,200万円獲得
  6. 6. ケーススタディ:業種・地域別の最適な選択
  7. 7. まとめ:5,000万円投資で最も有利な補助金戦略

はじめに

5,000万円規模の設備投資を計画する際、「国の補助金」と「地方自治体の補助金」のどちらを選ぶべきか、多くの経営者が悩んでいます。国の補助金は補助上限額が高い一方で、地方自治体の補助金は採択率が高く、手続きが簡素という特徴があります。

本記事では、国の補助金と地方自治体の補助金を、補助額、採択率、申請難易度、併用可能性など、あらゆる角度から徹底比較します。この記事を読めば、5,000万円投資で最も有利な補助金戦略を立てられるようになるでしょう。

 

国の補助金と地方自治体の補助金の基本的な違い

 1-1. 実施主体と予算規模

国の補助金は、経済産業省や厚生労働省などの中央省庁が実施し、予算規模は数百億円〜数千億円です。一方、地方自治体の補助金は、都道府県や市区町村が実施し、予算規模は数千万円〜数億円程度です。

1-2. 対象地域と対象事業者

国の補助*は全国の事業者が対象ですが、地方自治体の補助金は当該地域に事業所を持つ事業者に限定されます。

1-3. 制度の目的

国の補助金は、国全体の産業振興や経済成長を目的としています。地方自治体の補助金は、地域経済の活性化や地域課題の解決を目的としています。

| 比較項目 | 国の補助金 | 地方自治体の補助金 |
|—|—|—|
| **実施主体** | 経済産業省、厚生労働省など | 都道府県、市区町村 |
| **予算規模** | 数百億円〜数千億円 | 数千万円〜数億円 |
| **対象地域** | 全国 | 特定地域のみ |
| **対象事業者** | 全国の中小企業 | 地域内の中小企業 |
| **制度の目的** | 国全体の産業振興 | 地域経済の活性化 |

補助額で比較:5,000万円投資でいくら獲得できるか

2-1. 国の補助金の補助額

ものづくり補助金(国)の場合、5,000万円の設備投資で最大1,500万円〜2,500万円の補助金を獲得できます。

補助額の計算例
– 投資額: 5,000万円
– 補助率: 1/2(中小企業)
– 補助上限額: 1,500万円(通常枠)〜5,000万円(グローバル展開型)
– **実際の補助額**: 1,500万円〜2,500万円

2-2. 地方自治体の補助金の補助額

東京都の設備投資補助金の場合、5,000万円の設備投資で最大500万円〜1,000万円の補助金を獲得できます。

補助額の計算例:
– 投資額: 5,000万円
– 補助率: 1/3
– 補助上限額: 1,000万円
– **実際の補助額**: 1,000万円

2-3. 補助額の比較

| 補助金の種類 | 投資額 | 補助率 | 補助上限額 | 実際の補助額 |
|—|—|—|—|—|
| **ものづくり補助金(国)** | 5,000万円 | 1/2 | 1,500万円 | 1,500万円 |
| **事業再構築補助金(国)** | 5,000万円 | 1/2 | 7,000万円 | 2,500万円 |
| **東京都設備投資補助金** | 5,000万円 | 1/3 | 1,000万円 | 1,000万円 |
| **神奈川県設備投資補助金** | 5,000万円 | 1/3 | 500万円 | 500万円 |

結論: 補助額では国の補助金が圧倒的に有利です。

 採択率で比較:どちらが採択されやすいか

3-1. 国の補助金の採択率

ものづくり補助金の採択率は、公募回によって異なりますが、概ね40〜60%です。事業再構築補助金は30〜50%程度です。

3-2. 地方自治体の補助金の採択率

地方自治体の補助金は、国の補助金と比べて採択率が高い傾向があります。東京都や神奈川県の設備投資補助金では、採択率60〜80%という事例もあります。

3-3. 採択率の比較

| 補助金の種類 | 採択率 | 競争率 |
|—|—|—|
| **ものづくり補助金(国)** | 40〜60% | 高い(全国から応募) |
| **事業再構築補助金(国)** | 30〜50% | 非常に高い |
| **東京都設備投資補助金** | 60〜80% | 中程度(都内事業者のみ) |
| **神奈川県設備投資補助金** | 60〜80% | 中程度(県内事業者のみ) |

結論: 採択率では地方自治体の補助金が有利です。

申請難易度で比較:手続きの複雑さと必要書類

4-1. 国の補助金の申請難易度

国の補助金は、申請書類が多く、事業計画書の記載要件も厳しいため、申請難易度が高いです。

必要書類の例(ものづくり補助金):
– 事業計画書(A4で10〜15ページ)
– 経費明細書
– 見積書(3社以上)
– 決算書(直近3期分)
– 労働者名簿
– その他(賃上げ計画書など)

4-2. 地方自治体の補助金の申請難易度

地方自治体の補助金は、国の補助金と比べて申請書類が少なく、記載要件も簡素な場合が多いです。

必要書類の例(東京都設備投資補助金):
– 申請書(A4で5〜8ページ)
– 事業計画書(簡易版)
– 見積書(1社でも可)
– 決算書(直近1期分)

4-3. 申請難易度の比較

| 比較項目 | 国の補助金 | 地方自治体の補助金 |
|—|—|—|
| **事業計画書の分量** | A4で10〜15ページ | A4で5〜8ページ |
| **見積書の要件** | 3社以上 | 1社でも可 |
| **決算書の要件** | 直近3期分 | 直近1期分 |
| **申請準備期間** | 1〜2ヶ月 | 2週間〜1ヶ月 |
| **専門家サポートの必要性** | 高い | 中程度 |

結論: 申請難易度では地方自治体の補助金が有利です。

併用戦略:国と地方を組み合わせて最大1,200万円獲得

5-1. 補助金の併用は可能か

多くの場合、国の補助金と地方自治体の補助金は併用可能です。ただし、同じ経費に対して重複して補助を受けることはできません。

5-2. 併用の具体例

5,000万円の設備投資を2つの事業に分割:
– 事業A(3,000万円): ものづくり補助金(国)で1,000万円獲得
– 事業B(2,000万円): 東京都設備投資補助金で500万円獲得
– 合計: 1,500万円の補助金獲得

5-3. 併用戦略のメリット

| メリット | 内容 |
|—|—|
| 補助金総額の最大化 | 国と地方を組み合わせることで、補助金総額を増やせる |
| リスク分散 | 一方が不採択でも、もう一方で補助を受けられる |
| 申請機会の増加 | 年間を通じて複数回の申請機会を得られる |

ケーススタディ:業種・地域別の最適な選択

6-1. 製造業(東京都)の場合

投資内容: 5,000万円の生産設備導入

最適戦略:
– ものづくり補助金(国): 1,500万円
– 東京都設備投資補助金: 500万円(別事業として申請)
– 合計: 2,000万円

6-2. 介護事業(神奈川県)の場合

投資内容: 5,000万円の施設改修・設備導入

最適戦略:
– 事業再構築補助金(国): 2,500万円
– 神奈川県介護事業者支援補助金: 300万円
– 合計: 2,800万円

6-3. 小規模事業者(地方都市)の場合

投資内容: 1,000万円の設備導入

最適戦略:
– 地方自治体の補助金を優先(採択率が高く、手続きが簡素)
– 〇〇市設備投資補助金: 300万円
– 合計: 300万円

| 業種・地域 | 投資額 | 最適戦略 | 獲得補助金 |
|—|—|—|—|
| **製造業(東京都)** | 5,000万円 | 国+都の併用 | 2,000万円 |
| **介護事業(神奈川県)** | 5,000万円 | 国+県の併用 | 2,800万円 |
| **小規模事業者(地方都市)** | 1,000万円 | 地方自治体優先 | 300万円 |

まとめ:5,000万円投資で最も有利な補助金戦略

5,000万円の設備投資で最も有利な補助金戦略は、以下のチェックリストを活用して判断しましょう。

| 判断基準 | 国の補助金が有利 | 地方自治体の補助金が有利 |
|—|—|—|
| 補助額を最大化したい | ○ | × |
| 採択率を重視したい | × | ○ |
| 申請の手間を減らしたい | × | ○ |
| 併用戦略を取りたい | ○(国+地方) | ○(国+地方) |
| 投資額が大きい(3,000万円以上) | ○ | △ |
| 投資額が小さい(1,000万円以下) | △ | ○ |

最適戦略の結論:
– 投資額が大きい場合(3,000万円以上): 国の補助金を優先し、可能であれば地方自治体の補助金と併用
– 投資額が小さい場合(1,000万円以下): 地方自治体の補助金を優先(採択率が高く、手続きが簡素)
– 確実性を重視する場合: 地方自治体の補助金を優先
– 補助額を最大化したい場合: 国の補助金を優先

5,000万円の設備投資は、企業の将来を左右する重要な意思決定です。国の補助金と地方自治体の補助金の特徴を理解し、自社に最適な戦略を立てることで、補助金獲得の可能性を最大化できます。ぜひ、本記事のポイントを参考に、最適な補助金戦略を立ててください。

補助金・助成金申請でお困りの方へ

補助金・助成金の申請は、制度の選定から事業計画書の作成、必要書類の準備まで、多くの専門知識と時間を要します。特に、国の補助金と地方自治体の補助金を併用する場合、それぞれの制度の要件を正確に理解し、申請書を作成する必要があります。

実は、多くの社会保険労務士は助成金には詳しくても、補助金の申請支援については十分な経験やノウハウを持っていないケースが少なくありません。また、助成金と補助金では制度の目的も申請プロセスも大きく異なるため、それぞれに特化した専門性が必要です。

当センターでは、各種補助金・助成金の申請支援において、豊富な実績とノウハウを持つ専門家が、あなたの事業計画の策定から申請書類の作成、採択後のフォローまで、一貫してサポートいたします。

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このようなお悩みをお持ちの方は、ぜひお気軽に当センターまでご相談ください。