【2025年版】両立支援助成金の概要・条件・申請方法まとめ
「育児中の優秀な社員が辞めてしまうのを防ぎたい…」 「介護を理由に退職する社員が増えている…」 「男性社員も育休を取りやすい環境を作りたいが、人員配置が心配…」
そんな経営者・人事担当者の方に朗報です!両立支援助成金を活用すれば、仕事と家庭の両立支援に取り組む際の費用や代替要員確保の費用を国から支援してもらえます。
この記事では、初めて助成金を検討する方でも分かるように、両立支援助成金の仕組みから申請方法まで、2025年最新版の情報をわかりやすく解説します。
この助成金が向いている事業主
両立支援助成金は、以下のような事業主の方に特におすすめです:
✅ 女性活躍を推進したい事業主
・産休・育休を取りやすい環境を整備したい
・育児中の女性の継続就業を支援したい
✅ 男性の育児参加を促進したい事業主
・男性の育児休業取得率を向上させたい
・イクメン企業としてのイメージアップを図りたい
✅ 介護離職を防ぎたい事業主
・介護休業制度を充実させたい
・仕事と介護の両立支援体制を構築したい
✅ 多様な働き方を推進したい事業主
・テレワークや時短勤務を導入したい
・ワークライフバランスを重視した職場づくりをしたい
【目次】
1.両立支援助成金とは
両立支援助成金は、職業生活と家庭生活が両立できる職場環境づくりに取り組む事業主を支援する制度です。従業員の育児休業取得、介護休業取得、仕事と不妊治療の両立などを支援する取り組みに対して助成金が支給されます。
厚生労働省が管轄し、各都道府県労働局雇用環境・均等部(室)が窓口となって運営されています。
2.助成金の6つのコース
1. 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)
男性労働者が育児休業や育児目的休暇を取得しやすい職場風土作りに取り組み、実際に取得させた事業主に助成
助成額(中小企業の場合)
- 第1回:20万円(代替要員確保の場合は20万円加算)
- 第2回以降:10万円(育休取得率が向上した場合は最大60万円)
2. 介護離職防止支援コース
介護支援プランを作成し、プランに基づき労働者の円滑な介護休業の取得・復帰に取り組んだ事業主に助成
助成額(中小企業の場合)
- 介護休業:休業取得時30万円、職場復帰時30万円
- 介護両立支援制度:30万円
- 新型コロナウイルス感染症対応特例:5万円/人(上限10人)
3. 育児休業等支援コース
育休復帰支援プランを作成し、プランに基づき労働者の円滑な育児休業の取得・復帰に取り組んだ事業主に助成
助成額(中小企業の場合)
- 育休取得時:30万円
- 職場復帰時:30万円
- 代替要員確保時:50万円(有期雇用労働者の場合10万円加算)
- 職場復帰後支援:30万円
4. 不妊治療両立支援コース
不妊治療のために利用可能な休暇制度・両立支援制度を利用しやすい環境整備に取り組み、実際に利用させた事業主に助成
助成額(中小企業の場合)
- 環境整備、休暇の取得等:30万円
- 長期休暇の加算:30万円
5. 新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援コース
新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置として休業が必要とされた妊娠中の女性労働者に有給の休暇を取得させた事業主に助成
助成額
- 対象労働者1人あたり:15万円(所定労働日数20日以上の場合)
6. 女性活躍加速化コース
女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、女性活躍に関する取組を実施して目標を達成した事業主に助成
助成額(中小企業の場合)
- 数値目標達成時:60万円
3.共通の要件
対象事業主の要件
- 雇用保険適用事業所の事業主であること
- 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、労働局に届け出ていること
- 各コースの要件に該当する取組を実施していること
対象労働者の要件
- 雇用保険被保険者であること(コースにより詳細要件は異なる)
- 申請事業主に雇用されていること
4.申請の流れ
1. 就業規則等の整備
育児・介護休業規程等、必要な制度を就業規則に規定します。
ポイント
- 法定を上回る内容での規定も検討
- 労働基準監督署への届出を忘れずに
2. 一般事業主行動計画の策定・届出
次世代育成支援対策推進法に基づく計画を策定し、労働局に届け出ます。
必要事項
- 計画期間(2〜5年)
- 目標(数値目標を含む)
- 取組内容
3. 制度の周知・取組の実施
従業員への制度周知を行い、実際に利用を促進します。
実施のポイント
- 管理職への研修実施
- 相談窓口の設置
- 制度利用の好事例の共有
4. 支給申請
各コースで定められた期限内に支給申請を行います。
申請期限の例
- 育児休業取得後2か月以内
- 介護休業取得後2か月以内
- 取組実施後2か月以内(コースにより異なる)
5.2025年度の主な変更点・注意事項
- 男性の育児休業取得促進がさらに強化
- 産後パパ育休(出生時育児休業)への対応
- 不妊治療と仕事の両立支援が注目
- 申請書類の簡素化・オンライン化が進展
6.よくある質問
Q1. 就業規則がない小規模事業所でも申請できますか?
A.労働者数10人未満で就業規則の作成義務がない事業所でも、育児・介護休業規程等を作成し、労働者に周知することで申請可能です。
Q2. 男性の育児休業は何日以上取得すれば対象になりますか?
A.出生時両立支援コースでは、連続5日以上(中小企業の場合)の育児休業取得が要件となっています。
Q3. 代替要員は正社員でなければいけませんか?
A.いいえ、パートタイムや派遣社員でも構いません。重要なのは、育児休業取得者の業務を代替することです。
Q4. 複数の従業員が制度を利用した場合、それぞれ申請できますか?
A.コースにより異なりますが、多くの場合、年度内の人数制限があります。詳細は各コースの要件をご確認ください。
7.まとめ
両立支援助成金は、従業員のワークライフバランスを支援することで、優秀な人材の定着と企業の持続的な発展を促進する重要な制度です。特に人材確保が困難な現代において、両立支援に取り組むことは企業の競争力向上にもつながります。
申請には事前の制度整備と計画策定が必要なため、早めの準備が大切です。従業員のニーズを把握し、自社に合った支援策を検討しましょう。
最新の情報や詳細な要件については、厚生労働省のホームページや最寄りの労働局雇用環境・均等部(室)でご確認ください。
※本記事の内容は2025年1月時点の情報に基づいています。制度は変更される可能性がありますので、申請時は必ず最新情報をご確認ください。