介護事業所が活用できる補助金・助成金|ICT導入から人材育成まで完全ガイド

  • 【目次】
  1. ICT導入支援:介護現場のデジタル化を推進
  2. 業務改善助成金:賃上げと生産性向上を同時に実現
  3. 人材育成・キャリアアップ:職員のスキルアップを支援
  4. その他の活用可能な補助金・助成金
  5. まとめ:介護事業所が補助金を活用する際のポイント

はじめに

介護事業所は、慢性的な人手不足や業務負担の増大といった課題に直面しています。こうした課題を解決するために、国や地方自治体は、ICT導入支援、業務改善、人材育成など、様々な補助金・助成金制度を用意しています。しかし、「どの制度が自社に適しているのか分からない」「申請手続きが複雑で手が出せない」といった声も少なくありません。
本記事では、介護事業所が活用できる主要な補助金・助成金制度を、ICT導入、業務改善、人材育成の3つの観点から整理し、具体的な活用方法と申請のポイントを解説します。この記事を読めば、自社に最適な制度を見つけ、申請の第一歩を踏み出すことができるでしょう。

ICT導入支援:介護現場のデジタル化を推進

1-1. ICT導入補助金の概要

介護現場では、記録業務や情報共有に多くの時間が割かれ、本来の介護業務に集中できないという課題があります。こうした課題を解決するため、国は「介護ロボット・ICT導入支援事業」を実施しています。

 

この制度では、介護記録ソフト、タブレット端末、インカム(通信機器)、見守りセンサーなど、介護現場の業務効率化に資するICT機器の導入費用を補助します。

1-2. 補助対象となる機器の例

| 機器の種類 | 具体例 | 期待される効果 |
|:—|:—|:—|
| 介護記録ソフト | クラウド型介護記録システム | 記録業務の時間短縮、情報共有の円滑化 |
| タブレット端末 | 介護記録用タブレット | 現場での即時記録、ペーパーレス化 |
| インカム | ワイヤレスインカム | 職員間の迅速な情報共有、移動時間の削減 |

| 見守りセンサー | ベッド離床センサー、転倒検知センサー | 夜間巡回の負担軽減、事故の未然防止 |

 

 

1-3. 補助額と補助率

補助率: 導入費用の1/2〜3/4(自治体によって異なる)

補助上限額: 1事業所あたり数十万円〜数百万円(機器の種類や台数による)

 

 

1-4. 申請のポイント

申請書には、「どの業務にどれだけの時間がかかっているか」「ICT導入によってどれだけ時間を短縮できるか」を具体的な数値で示すことが重要です。例えば、「記録業務に1日あたり職員1人につき1時間かかっているが、介護記録ソフト導入により30分に短縮できる」といった具体的な記述が求められます。

 

 

ICT機器を導入しても、職員が使いこなせなければ意味がありません。申請書には、導入後の研修計画(誰が、いつ、どのように研修を行うか)も記載しましょう。

業務改善助成金:賃上げと生産性向上を同時に実現

2-1. 業務改善助成金の概要

業務改善助成金は、事業場内の最低賃金を引き上げ、同時に生産性向上のための設備投資を行う事業者を支援する制度です。介護事業所では、介護リフト、電動ベッド、業務用洗濯機など、職員の身体的負担を軽減する設備の導入に活用できます。

 

 

2-2. 補助対象となる設備の例

| 設備の種類 | 具体例 | 期待される効果 |
|:—|:—|:—|
| 介護リフト | 天井走行式リフト、床走行式リフト | 移乗介助の負担軽減、腰痛予防 |
| 電動ベッド | 背上げ・膝上げ機能付き電動ベッド | ベッドメイキングの負担軽減 |
| 業務用洗濯機・乾燥機 | 大容量業務用洗濯機 | リネン管理の時間短縮 |

| 電話・複合機 | ビジネスフォン、複合機 | 事務作業の効率化 |

 

 

2-3. 補助額と補助率

補助率: 設備投資費用の3/4〜9/10(事業場規模による)
補助上限額: 30円コース:30万円、50円コース:50万円、70円コース:70万円など

2-4. 申請のポイント

賃上げ後の経営計画を見据える

業務改善助成金では、賃上げ後の経営計画まで見据えることが重要です。特に、「賃上げ後は、その金額より低い時給で新規雇用できない」という制約があるため、採用計画への影響も考慮しましょう。

 

 

9月中に賃上げを実施する

最低賃金が改定される10月より前の9月中に賃上げを実施すると、会社の負担を最小限に抑えつつ、助成金の要件を満たすことができます。

 

人材育成・キャリアアップ:職員のスキルアップを支援

3-1. キャリアアップ助成金の概要

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者(パート、アルバイト、契約社員など)のキャリアアップを支援する制度です。介護事業所では、パート職員を正社員に転換したり、処遇を改善したりする際に活用できます。

 

 

3-2. 活用できるコース

正社員化コース
有期雇用労働者を正規雇用労働者に転換した場合に助成されます。

助成額: 1人あたり57万円〜72万円(中小企業の場合)

 

 

賃金規定等改定コース
有期雇用労働者の基本給を2%以上増額改定した場合に助成されます。

助成額: 1人あたり4万円〜6万円(中小企業の場合)

 

 

3-3. 申請のポイント

就業規則の整備が前提

キャリアアップ助成金を申請するには、就業規則にキャリアアップに関する規定を盛り込む必要があります。申請前に、社会保険労務士などの専門家に相談し、就業規則を整備しましょう。

 

キャリアアップ計画の提出
助成金を受給するには、事前に「キャリアアップ計画」を労働局に提出し、認定を受ける必要があります。計画には、対象者、実施時期、目標などを具体的に記載します。

その他の活用可能な補助金・助成金

4-1. 小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、販路開拓や生産性向上を目指す小規模事業者を支援する制度です。介護事業所では、ホームページの作成、パンフレットの制作、看板の設置など、広報活動に活用できます。

 

補助率: 2/3

補助上限額: 50万円〜200万円(申請枠による)

 

 

4-2. IT導入補助金

IT導入補助金は、業務効率化や売上向上を目的としたITツールの導入を支援する制度です。介護事業所では、勤怠管理システム、給与計算ソフト、会計ソフトなどの導入に活用できます。

 

補助率: 1/2〜3/4
補助上限額: 50万円〜450万円(申請枠による)

4-3. 地域特化型補助金

都道府県や市区町村が独自に実施している補助金もあります。例えば、横浜市では「介護ロボット導入支援事業」、神奈川県では「介護人材確保・定着支援事業」などがあります。自社の所在地の自治体のウェブサイトを確認しましょう。

まとめ:介護事業所が補助金を活用する際のポイント

介護事業所が補助金・助成金を活用する際には、以下のポイントを押さえることが重要です。
| ポイント | 内容 |
|:—|:—|
| 自社の課題を明確にする | ICT導入、業務改善、人材育成など、何を解決したいのかを明確にする |
| 複数の制度を比較検討 | 同じ目的でも、複数の制度が存在する場合がある。補助率や補助上限額を比較する |
| 申請要件を事前に確認 | 賃上げ要件、対象者の雇用期間など、細かな要件を見落とさない |
| スケジュールに余裕を持つ | 申請から交付決定まで数ヶ月かかる場合がある。余裕を持って計画を立てる |
| 専門家に相談する | 申請書類の作成や要件の確認は、専門家のサポートを受けることで成功率が高まる |

 

介護事業所は、慢性的な人手不足や業務負担の増大といった課題に直面していますが、補助金・助成金を活用することで、これらの課題を解決し、より良い介護サービスを提供できる可能性があります。ぜひ、本記事を参考に、自社に最適な制度を見つけ、申請に挑戦してみてください。

補助金・助成金申請でお困りの方へ

補助金・助成金の申請は、制度の選定から事業計画書の作成、必要書類の準備まで、多くの専門知識と時間を要します。特に、要件の確認や数値目標の根拠づけ、実績報告など、細かなルールを正確に理解し、実行することが求められます。
実は、多くの社会保険労務士は助成金には詳しくても、補助金の申請支援については十分な経験やノウハウを持っていないケースが少なくありません。 また、助成金と補助金では制度の目的も申請プロセスも大きく異なるため、それぞれに特化した専門性が必要です。

当センターでは、各種補助金・助成金の申請支援において、豊富な実績とノウハウを持つ専門家が、あなたの事業計画の策定から申請書類の作成、採択後のフォローまで、一貫してサポートいたします。

 

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