1.【2025年版】インバウンド対応力強化支援補助金の目的と概要

1-1.制度の目的と背景

インバウンド対応力強化支援補助金は、訪日外国人旅行者の受入環境整備を通じて、我が国の観光立国実現に貢献することを目的としています。2025年度においては、政府が掲げる「2030年訪日外国人旅行者数6,000万人」の目標達成に向け、以下の政策課題の解決を重点的に支援しています。

重点支援分野

– 多言語対応の高度化とデジタル化推進

– バリアフリー対応とユニバーサルデザインの推進

– 地域の観光資源を活用した体験型コンテンツの開発

– 持続可能な観光（サステナブルツーリズム）の推進

– 災害時を含む安全・安心な受入体制の構築

1-2.補助金の枠組みと補助額

多言語対応強化支援

訪日外国人旅行者にとって分かりやすい情報提供環境の整備を支援します。

デジタル多言語対応

– 補助額：対象経費の3/4以内（上限300万円）

– 対象：AI翻訳システム、多言語ウェブサイト、デジタルサイネージ等

– 支援言語：英語、中国語、韓国語、タイ語、ベトナム語等

従来型多言語対応

– 補助額：対象経費の2/3以内（上限150万円）

– 対象：多言語パンフレット、案内表示、音声ガイド等

– 追加支援：地域連携による共同制作への加算

受入体制整備支援

外国人旅行者の利便性向上と満足度向上を図る設備導入を支援します。

バリアフリー対応

– 補助額：対象経費の2/3以内（上限500万円）

– 対象：スロープ設置、多目的トイレ、音声案内システム等

– 特別支援：車椅子対応設備への追加支援

決済環境整備

– 補助額：対象経費の2/3以内（上限100万円）

– 対象：キャッシュレス決済端末、QRコード決済システム等

– 対応通貨：主要外貨への対応支援

Wi-Fi環境整備

– 補助額：対象経費の2/3以内（上限200万円）

– 対象：公衆無線LAN設備、高速インターネット環境等

– セキュリティ：セキュリティ対策への追加支援

1-3.2025年度の主な変更点

2025年度のインバウンド対応力強化支援補助金では、以下の点が新たに強化されています：

1.体験型コンテンツ開発支援の新設

   – 地域の文化・歴史を活用した体験プログラム

   – VR・AR技術を活用したデジタル体験

   – 職人技術の見学・体験プログラム

2.サステナブルツーリズム対応

   – 環境負荷軽減設備への特別支援

   – 地域産品活用への追加支援

   – 地域住民との共生型観光への加点

3.災害時対応体制の強化

   – 多言語災害情報提供システム

   – 避難誘導設備の整備

   – 緊急時コミュニケーションツール

4.地域連携推進

   – 複数事業者での共同申請支援

   – 地域DMOとの連携強化

   – 広域観光連携への特別枠

1-4.補助対象となる事業・設備

情報提供関連

1.多言語情報発信

   – 多言語ウェブサイト制作・改修

   – 多言語パンフレット・案内資料制作

   – デジタルサイネージシステム導入

2.案内表示整備

   – 多言語案内表示板設置

   – ピクトグラム対応案内板

   – QRコード活用情報提供システム

施設・設備関連

1.バリアフリー対応

   – 車椅子対応設備

   – 多目的トイレ設置・改修

   – 音声案内システム

2.利便性向上設備

   – 手荷物保管設備

   – 休憩スペース整備

   – 授乳室・祈祷室設置

ICT関連

1.通信環境整備

   – 公衆無線LAN設備

   – 高速インターネット環境

   – スマートフォン充電設備

2.決済システム

   – キャッシュレス決済端末

   – 多通貨対応決済システム

   – QRコード決済システム

1-5.地域特性を活かした支援

地方創生特別枠

1.地方部での受入体制強化

   – 地方での導入に対する追加支援

   – 地域資源活用への特別支援

   – 地域間連携による広域観光推進

2.伝統文化・産業との連携

   – 伝統工芸体験施設整備

   – 地域食材活用施設支援

   – 歴史的建造物活用支援

都市部集客力強化

1.都市型観光の高度化

   – 最先端技術活用展示

   – 多言語対応コンシェルジュサービス

   – 高品質な接客サービス体制

2.国際競争力強化

   – 世界水準のサービス提供

   – 多様な文化への対応

   – 持続可能な観光モデル構築

2.対象となる企業と条件

2-1.対象となる事業者

基本要件

インバウンド対応力強化支援補助金の対象となる事業者は、以下の要件を満たす必要があります：

中小企業・小規模事業者

– 製造業：資本金3億円以下または従業員300人以下

– 卸売業：資本金1億円以下または従業員100人以下

– サービス業：資本金5,000万円以下または従業員100人以下

– 小売業：資本金5,000万円以下または従業員50人以下

観光関連事業者

– 宿泊業（旅館、ホテル、民宿等）

– 飲食業（レストラン、カフェ、居酒屋等）

– 小売業（土産物店、免税店等）

– 体験・娯楽業（テーマパーク、博物館、体験施設等）

– 運輸業（タクシー、バス、レンタカー等）

地域の観光振興に貢献する事業者

– 観光案内所運営事業者

– 地域DMO・観光協会

– 商店街振興組合

– 地域の文化・歴史保存団体

2-2.申請可能な事業内容

訪日外国人旅行者受入事業

直接的な受入事業

– 宿泊サービスの提供

– 飲食サービスの提供

– 小売・販売サービスの提供

– 体験・娯楽サービスの提供

– 交通・移動サービスの提供

間接的な受入支援事業

– 観光情報提供サービス

– 通訳・翻訳サービス

– 観光案内サービス

– 予約・手配サービス

地域観光振興事業

1.観光資源の活用

   – 地域の文化・歴史の紹介

   – 自然環境の活用

   – 地域産品の紹介・販売

2.地域連携の推進

   – 他事業者との連携

   – 地域全体での受入体制構築

   – 広域観光ルートの開発

2-3.申請時の留意点

補助対象外となる事業・経費

以下の事業・経費は補助対象となりません：

対象外事業

– 訪日外国人旅行者以外を主対象とする事業

– 既存事業の単純な拡大

– 他の補助金と重複する事業

– 転売・転貸目的の事業

対象外経費

– 人件費（一部例外あり）

– 土地・建物の購入費

– 既存設備の維持・修繕費

– 消耗品費

– 一般管理費

申請における注意点

1.事業計画の妥当性

   – 訪日外国人旅行者のニーズに対応

   – 地域の観光振興への貢献

   – 継続的な事業運営の確保

2.効果の明確化

   – 具体的な効果目標の設定

   – 効果測定方法の明確化

   – 継続的な改善の仕組み

3.実施体制の整備

   – 適切な実施体制の構築

   – 専門知識・技術の確保

   – 関係者との連携体制

2-4.特別支援制度

地域活性化特別枠

1.地方創生連携型

   – 地方創生計画との連携

   – 地域経済活性化への貢献

   – 雇用創出効果

2.文化財活用型

   – 文化財の観光活用

   – 伝統文化の継承・発信

   – 文化的価値の向上

先進技術活用特別枠

1.デジタル技術活用

   – AI・IoT技術の活用

   – VR・AR技術の活用

   – ビッグデータ活用

2.環境配慮型

   – 環境負荷軽減技術

   – 持続可能な観光モデル

   – 地域環境保全への貢献

3.申請の流れと必要書類

3-1.申請スケジュール

2025年度申請スケジュール

第1期申請（春期）

– 申請受付期間：2025年3月1日～2025年5月31日

– 審査期間：2025年6月1日～2025年7月31日

– 交付決定：2025年8月中旬

第2期申請（秋期）

– 申請受付期間：2025年8月1日～2025年10月31日

– 審査期間：2025年11月1日～2025年12月31日

– 交付決定：2026年1月中旬

緊急対応特別申請

– 申請受付期間：随時受付

– 審査期間：申請から60日以内

– 交付決定：審査完了後速やかに

3-2.インバウンド対応力強化支援補助金申請方法の詳細手順

STEP1: 事前準備

1.現状調査・分析

   – 訪日外国人旅行者の受入状況調査

   – 課題・ニーズの把握

   – 競合他社の状況分析

2.事業計画の策定

   – 改善目標の設定

   – 導入設備・システムの選定

   – 実施スケジュールの作成

3.予算計画の作成

   – 必要経費の積算

   – 補助金額の試算

   – 自己負担額の確保

STEP2: 申請書類の作成

1.申請システムへの登録

   – 補助金申請システムアカウント作成

   – 事業者情報の登録

   – 申請書類のダウンロード

2.事業計画書の作成

   – 事業概要・目的の説明

   – 導入予定設備・システムの詳細

   – 期待される効果の具体化

3.収支計画書の作成

   – 事業実施に必要な経費

   – 収入予測・効果算定

   – 投資回収計画

STEP3: 申請手続き

1.申請書類の提出

   – 電子申請での提出

   – 必要書類の添付

   – 申請内容の最終確認

2.審査・採択

   – 書面審査の実施

   – 現地調査（必要に応じて）

   – 採択結果の通知

3.交付決定・事業開始

   – 交付決定通知の受領

   – 事業の正式開始

   – 進捗報告の実施

必要書類一覧

基本書類

すべての申請者が提出する書類

1.申請書

   – 事業者基本情報

   – 事業概要

   – 申請内容の詳細

2.事業計画書

   – 事業の目的・背景

   – 実施内容・方法

   – 期待される効果

3.収支計画書

   – 事業実施に必要な経費

   – 収入予測

   – 投資回収計画

4.見積書

   – 導入設備・システムの見積

   – 工事費用の見積

   – その他必要経費の見積

5.会社概要書

   – 事業内容の詳細

   – 組織体制

   – 財務状況

6.履歴事項全部証明書

   – 法人のみ必要

   – 申請日から3か月以内のもの

追加書類

事業内容に応じて必要な書類

1.現況調査報告書

   – 訪日外国人旅行者の受入状況

   – 現在の課題・問題点

   – 改善の必要性

2.技術仕様書

   – 導入予定設備・システムの詳細仕様

   – 技術的特徴・優位性

   – 導入効果の技術的根拠

3.実施体制書

   – 事業実施の組織体制

   – 担当者の役割・責任

   – 外部委託先の情報

4.地域連携計画書

   – 地域の観光振興計画との関係

   – 他事業者との連携内容

   – 地域への波及効果

3-4.申請書作成のポイント

事業計画書の作成要領

1.課題の明確化

   – 具体的な問題点・課題

   – 訪日外国人旅行者のニーズ

   – 改善の必要性・緊急性

2.解決策の具体化

   – 導入設備・システムの有効性

   – 実施方法の妥当性

   – 期待される効果の定量化

3.継続性の確保

   – 事業の継続可能性

   – 維持管理体制

   – 将来の発展計画

収支計画書の作成ポイント

1.経費の妥当性

   – 必要最小限の経費

   – 市場価格との比較

   – 複数見積もりの取得

2.効果の算定

   – 売上向上効果

   – コスト削減効果

   – 投資回収期間

3.リスクの評価

   – 事業リスクの把握

   – リスク対策の準備

   – 最悪ケースの想定

3-5.申請成功のためのポイント

審査通過のコツ

1.高い事業効果

   – 訪日外国人旅行者の満足度向上

   – 地域経済への波及効果

   – 継続的な事業発展

2.事業の実現可能性

   – 具体的で実現可能な計画

   – 適切な実施体制

   – 十分な資金計画

3.地域貢献性

   – 地域の観光振興への貢献

   – 地域経済の活性化

   – 雇用創出効果

4.先進性・独自性

   – 先進技術の活用

   – 独自のアイデア・工夫

   – 他地域のモデルとなる取組

3-6.申請後の手続き

採択後の手続き

1.交付決定

   – 交付決定通知書の受領

   – 補助金交付の確定

2.事業実施

   – 計画に基づく事業実施

   – 進捗状況の報告

   – 必要に応じた計画変更

3.実績報告

   – 事業実施結果の報告

   – 支払い証憑の提出

   – 効果測定結果の報告

4.補助金の交付

   – 審査完了後の補助金振込

   – 事業完了の確認

事業実施後の義務

1.効果報告義務

   – 年次効果報告書の提出

   – 訪日外国人旅行者数の報告

   – 売上・利益への効果報告

2.財産管理義務

   – 補助対象設備の適切な管理

   – 処分制限期間の遵守

   – 用途変更の事前承認

3.事業継続義務

   – 一定期間の事業継続

   – サービス品質の維持

   – 継続的な改善の実施

当事務所では、インバウンド対応力強化支援補助金の申請から事業実施、効果報告まで、一貫したサポートを提供しています。現状調査から事業計画の策定、申請書類の作成、採択後の手続きまで、助成金専門の社労士として豊富な実績を持つ当事務所が、企業の皆様のインバウンド対応力強化を全面的にサポートいたします。お気軽にご相談ください。