【2025年版】人材開発支援助成金の概要・条件・申請方法まとめ
「従業員のスキルアップは必要だけど、研修費用が高くて…」 「新入社員の教育にお金をかけたいが、予算が限られている…」 「DX推進のためにIT研修を実施したいが、コストが心配…」
そんな経営者・人事担当者の方に朗報です!人材開発支援助成金を活用すれば、従業員の職業訓練や研修にかかる費用の一部を国から支援してもらえます。
この記事では、初めて助成金を検討する方でも分かるように、人材開発支援助成金の仕組みから申請方法まで、2025年最新版の情報をわかりやすく解説します。
この助成金が向いている事業主
人材開発支援助成金は、以下のような事業主の方に特におすすめです:
✅ 従業員の能力開発に投資したい事業主
- 体系的な研修制度を構築したい
- 専門スキルを持つ人材を育成したい
✅ DX・デジタル化を推進したい事業主
- IT研修やデジタルスキル向上を図りたい
- 新しい技術に対応できる人材を育てたい
✅ 若手社員の育成に力を入れたい事業主
- 新入社員研修を充実させたい
- OJTと連動した教育体系を作りたい
✅ 資格取得を支援したい事業主
- 業務に必要な資格取得を促進したい
- 従業員のキャリアアップを支援したい
【目次】
1.人材開発支援助成金とは
人材開発支援助成金は、労働者の職業生活設計の全期間を通じて段階的かつ体系的な職業能力開発を促進するため、事業主が労働者に対して職業訓練等を計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。
厚生労働省が管轄し、各都道府県労働局が窓口となって運営されています。
2.助成金の7つのコース
1. 人材育成支援コース
雇用する労働者に対して、職務に関連した専門的な知識・技能を習得させるための職業訓練等を実施した場合に助成
助成率・助成額(中小企業の場合)
- 経費助成:45%(生産性要件を満たす場合60%)
- 賃金助成:760円/時(生産性要件を満たす場合960円)
- OJT実施助成:20万円/人(生産性要件を満たす場合25万円)
2. 教育訓練休暇等付与コース
有給教育訓練休暇制度や長期教育訓練休暇制度を導入し、労働者が休暇を取得して訓練を受けた場合に助成
助成額(中小企業の場合)
- 制度導入:30万円(生産性要件を満たす場合36万円)
- 賃金助成:6,000円/日(長期教育訓練休暇の場合)
3. 人への投資促進コース
デジタル人材・高度人材を育成する訓練、労働者が自発的に行う訓練、定額制訓練(サブスクリプション型)等を実施した場合に助成
助成率・助成額(中小企業の場合)
- 経費助成:最大75%(デジタル人材育成の場合)
- 賃金助成:最大960円/時
- 定額制訓練:60%(生産性要件を満たす場合75%)
4. 事業展開等リスキリング支援コース
新規事業の立ち上げ等の事業展開に伴い、事業主が雇用する労働者に対して新たな分野で必要となる知識・技能を習得させるための訓練を実施した場合に助成
助成率・助成額(中小企業の場合)
- 経費助成:75%(生産性要件を満たす場合85%)
- 賃金助成:960円/時(生産性要件を満たす場合1,200円)
5. 建設労働者認定訓練コース
建設関連の認定職業訓練または指導員訓練のうち、建設関連の訓練を実施した場合に助成
助成額(中小企業の場合)
- 経費助成:補助対象経費の1/6
- 賃金助成:4,750円/日(生産性要件を満たす場合6,000円)
6. 建設労働者技能実習コース
雇用する建設労働者に対して技能実習を受講させた場合に助成
助成率(中小企業の場合)
- 経費助成:75%(生産性要件を満たす場合85%)
- 賃金助成:8,550円/日(生産性要件を満たす場合10,800円)
7. 障害者職業能力開発コース
障害者に対して職業能力開発訓練事業を実施する場合に助成
助成率
- 施設設置費:3/4
- 運営費:4/5(重度障害者等の場合)
3.共通の要件
対象事業主の要件
- 雇用保険適用事業所の事業主であること
- 職業能力開発推進者を選任していること
- 事業内職業能力開発計画を作成し、労働者に周知していること
- 職業訓練実施計画届の提出・認定を受けていること
対象労働者の要件
- 雇用保険被保険者であること
- 訓練期間中において、雇用保険被保険者であること
- 正規雇用労働者または非正規雇用労働者(コースにより異なる)
対象となる訓練
- OFF-JT(座学等):10時間以上
- OJT:適格な指導者の下で行われる実地訓練
- eラーニング:標準学習時間が10時間以上
4.申請の流れ
1. 事業内職業能力開発計画の作成
まず、企業全体の人材育成方針を定めた計画を作成します。
ポイント
- 経営理念・経営方針と人材育成の関連性を明確に
- 労働者のキャリア形成の方向性を具体的に記載
2. 職業訓練実施計画届の提出
訓練開始日の前日から起算して1か月前までに提出が必要です。
必要書類
- 職業訓練実施計画届
- 訓練カリキュラム
- 講師略歴書(外部講師の場合)
- 訓練機関のパンフレット等
3. 訓練の実施
計画に基づいて訓練を実施します。
実施時の注意点
- 出席状況の管理(出席率80%以上が必要)
- 訓練日誌の作成
- 領収書等の証拠書類の保管
4. 支給申請
訓練終了日の翌日から起算して2か月以内に申請します。
必要書類
- 支給申請書
- 賃金台帳
- 出勤簿
- 訓練実施状況報告書
- 領収書等の経費を証明する書類
5.2025年度の主な変更点・注意事項
- DX推進に関連する訓練の助成率が優遇される傾向
- eラーニングを活用した訓練の対象範囲が拡大
- 定額制訓練(サブスクリプション型研修)への対応強化
- 申請書類の電子化・オンライン申請の推進
6.よくある質問
Q1. どのような研修が対象になりますか?
A.職務に関連する専門的な知識・技能を習得させるための研修が対象です。趣味的・教養的な内容、職業に関係のない日常会話レベルの語学研修等は対象外となります。
Q2. 外部研修と内部研修、どちらも対象になりますか?
A.はい、どちらも対象になります。外部研修機関への委託、自社内での研修実施、いずれも要件を満たせば助成対象となります。
Q3. 助成金はいつ支給されますか?
A.申請から支給決定まで通常2〜4か月程度かかります。訓練実施前の計画届の認定にも1か月程度必要なので、余裕を持った計画が大切です。
Q4. 1人あたりの助成金に上限はありますか?
A.コースにより異なりますが、1人1年度あたりの限度額が設定されています。例えば、人材育成支援コースでは、経費助成の限度額は50万円(一部の訓練は30万円)です。
7.まとめ
人材開発支援助成金は、従業員の能力開発に投資する企業を強力にサポートする制度です。特にDX推進やリスキリングが求められる現代において、この助成金を活用することで、コストを抑えながら計画的な人材育成が可能になります。
申請には事前の計画届提出が必要なため、研修実施の1か月以上前から準備を始めることが重要です。
最新の情報や詳細な要件については、厚生労働省のホームページや最寄りの労働局でご確認ください。
※本記事の内容は2025年1月時点の情報に基づいています。制度は変更される可能性がありますので、申請時は必ず最新情報をご確認ください。