【2025年版】再就職支援助成金の概要・条件・申請方法まとめ
「事業縮小で従業員の雇用を維持できないが、再就職を支援したい…」 「離職する従業員のキャリアチェンジを応援したいけど、費用が…」 「早期退職制度を導入したいが、従業員の再就職が心配…」
そんな経営者・人事担当者の方に朗報です!再就職支援助成金を活用すれば、事業規模の縮小等により離職を余儀なくされる労働者の再就職支援を、民間の職業紹介事業者に委託して行う際の費用を国から支援してもらえます。
この記事では、初めて助成金を検討する方でも分かるように、再就職支援助成金の仕組みから申請方法まで、2025年最新版の情報をわかりやすく解説します。
この助成金が向いている事業主
再就職支援助成金は、以下のような事業主の方に特におすすめです:
✅ 事業再編・縮小を検討している事業主
・事業の再構築で人員整理が必要
・不採算部門の閉鎖を予定している
・M&Aにより余剰人員が発生する
✅ 従業員の再就職を積極支援したい事業主
・離職者の次のキャリアを応援したい
・企業の社会的責任を果たしたい
・円満退職で良好な関係を維持したい
✅ 早期退職優遇制度を検討している事業主
・年齢構成の適正化を図りたい
・希望退職者の再就職を支援したい
・退職者の不安を軽減したい
✅ 人材の流動化を前向きに捉える事業主
・従業員のキャリア自律を支援したい
・アウトプレースメントを活用したい
・退職者とのネットワークを維持したい
【目次】
1.再就職支援助成金とは
再就職支援助成金は、事業規模の縮小等により離職を余儀なくされる労働者等に対し、再就職を実現するための支援を民間の職業紹介事業者に委託等して行う事業主、または、当該労働者を早期に期間の定めのない労働者として雇い入れる事業主に対して助成する制度です。
厚生労働省が管轄し、各都道府県労働局が窓口となって運営されています。
2.助成金の2つのコース
1. 再就職支援コース
事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者に対して、再就職支援を職業紹介事業者に委託して実施する事業主を支援
支給対象者
- 再就職援助計画の対象者
- 求職活動支援書の交付対象者
- 事業主都合により離職する者
委託できる内容
- 再就職支援会社による職業紹介
- キャリアコンサルティング
- 職業訓練
- グループワーク
- 求職活動のための休暇付与
2. 早期雇入れ支援コース
再就職援助計画などの対象者を離職後3か月以内に期間の定めのない労働者として雇い入れ、継続雇用する事業主を支援
対象労働者
- 再就職援助計画または求職活動支援書の対象者
- 離職後3か月以内に雇い入れられた者
- 雇入れ時の年齢が45歳以上の者
雇入れの要件
- 一般被保険者として雇い入れること
- 継続して雇用することが確実であること
3.支給要件と助成額
再就職支援コースの助成額
通常の場合
- 委託費用の1/2(中小企業は2/3)
- 上限60万円/人
特例の場合(45歳以上の対象者)
- 委託費用の2/3(中小企業は4/5)
- 上限80万円/人
訓練・グループワークを実施した場合の加算
- 訓練:月6万円を上限に実費を加算
- グループワーク:3回以上実施で1万円加算
休暇付与の場合の助成
- 日額8,000円(中小企業)/5,000円(中小企業以外)
- 上限180日分
職業訓練実施の場合の助成
- 教育訓練施設等への委託費用の2/3(上限30万円)
早期雇入れ支援コースの助成額
支給額(1人あたり)
- 通常:40万円
- 雇入れから6か月後に支給
人材育成支援(Off-JT・OJT)を行った場合の加算
Off-JTの場合:
- 賃金助成:900円/時(上限600時間)
- 訓練経費助成:上限30万円
OJTの場合:
- 実施助成:800円/時(上限340時間)
4.対象となる措置
再就職援助計画の作成・認定
- 1か月以内に30人以上の離職者が発生する場合
- 労働局長の認定が必要
- 労働組合等の同意が必要
求職活動支援書の交付
- 高年齢者雇用安定法に基づく書面
- 45歳以上65歳未満の労働者が対象
- 解雇等により離職する場合に交付
職業紹介事業者への委託
- 厚生労働大臣の許可を受けた事業者
- 再就職支援の実績がある事業者
- 適切な支援計画の策定
5.申請の流れ
再就職支援コースの場合
1. 再就職援助計画等の作成・認定
離職予定者が発生したら、計画を作成し労働局に提出します。
提出期限
- 離職予定日の1か月前まで
2. 職業紹介事業者との委託契約
認定後、職業紹介事業者と委託契約を締結します。
契約内容
- 支援内容の詳細
- 委託費用
- 成功報酬の有無
3. 再就職支援の実施
対象者に対して再就職支援を実施します。
支援期間
- 原則として委託後6か月以内
4. 支給申請
再就職が実現した後、または委託後6か月経過後に申請します。
申請期限
- 再就職実現日の翌日から2か月以内
- または委託後6か月経過後2か月以内
早期雇入れ支援コースの場合
1. 対象者の雇入れ
再就職援助計画等の対象者を雇い入れます。
確認事項
- 対象者要件の確認
- 雇用条件の設定
2. 支給申請
雇入れから6か月経過後に申請します。
申請期限
- 雇入れ日から6か月経過後の翌日から2か月以内
6.2025年度の主な変更点・注意事項
- DX等による事業再編への対応強化
- リスキリング支援との連携
- 中高年齢者への支援充実
- 申請手続きのデジタル化推進
7.よくある質問
Q1. 自己都合退職者も対象になりますか?
A.いいえ、事業主都合による離職者が対象です。ただし、早期退職優遇制度による退職者は対象となる場合があります。
Q2. 職業紹介事業者は自由に選べますか?
A.厚生労働大臣の許可を受けた職業紹介事業者であれば選択可能です。ただし、適切な再就職支援の実績があることが望ましいです。
Q3. 再就職が実現しなかった場合も助成されますか?
A.はい、委託後6か月間支援を実施した場合は、再就職が実現しなくても委託費用の一部が助成されます。
Q4. グループ企業への転籍も対象になりますか?
A.資本関係のあるグループ企業への転籍は原則対象外ですが、一定の要件を満たす場合は対象となることがあります。
8.まとめ
再就職支援助成金は、やむを得ず人員整理を行う企業が、離職する従業員の再就職を積極的に支援することを促進する制度です。単に雇用を終了するのではなく、次のキャリアへの橋渡しをすることで、企業の社会的責任を果たすとともに、企業イメージの向上にもつながります。
また、早期雇入れ支援コースを活用することで、他社で経験を積んだ即戦力人材を確保することも可能です。人材の流動化が進む現代において、この助成金は労働移動を円滑にする重要な役割を果たしています。
離職者支援は企業にとって負担となる面もありますが、この助成金を活用することで、経済的負担を軽減しながら適切な支援を行うことができます。
最新の情報や詳細な要件については、厚生労働省のホームページや最寄りの労働局でご確認ください。
※本記事の内容は2025年1月時点の情報に基づいています。制度は変更される可能性がありますので、申請時は必ず最新情報をご確認ください。