【2025年版】業務改善助成金の概要・条件・申請方法まとめ
「最低賃金を引き上げたいけど、経営が厳しくて…」 「生産性を向上させる設備を導入したいが、資金が足りない…」 「従業員の賃金を上げて定着率を高めたいが、利益が出せるか不安…」
そんな中小企業・小規模事業者の方に朗報です!業務改善助成金を活用すれば、生産性向上のための設備投資等と賃金引上げを同時に行う際の費用を国から支援してもらえます。
この記事では、初めて助成金を検討する方でも分かるように、業務改善助成金の仕組みから申請方法まで、2025年最新版の情報をわかりやすく解説します。
この助成金が向いている事業主
業務改善助成金は、以下のような事業主の方に特におすすめです:
✅ 最低賃金引き上げを検討している事業主
・地域の最低賃金に近い賃金で雇用している
・賃金引き上げで人材確保・定着を図りたい
✅ 生産性向上設備を導入したい事業主
・POSレジシステムを導入したい
・自動精算機で業務効率化したい
・新しい機械設備で生産性を上げたい
✅ 業務効率化を進めたい事業主
・ITツールで業務を効率化したい
・コンサルティングを受けて業務改善したい
・人材育成で生産性を向上させたい
✅ 人手不足に悩む事業主
・賃金アップで採用競争力を高めたい
・設備投資で少人数でも運営できる体制を作りたい
【目次】
1.業務改善助成金とは
業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内最低賃金の引上げを図るための制度です。生産性向上のための設備投資等(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合に、その設備投資等にかかった費用の一部を助成します。
厚生労働省が管轄し、各都道府県労働局が窓口となって運営されています。
2.助成金の概要
支給要件
- 事業場内最低賃金の引上げ
- 事業場内最低賃金を一定額以上引き上げる計画を策定
- 引上げ後の賃金額を支払うこと
- 生産性向上のための設備投資等
- 生産性向上に資する設備投資等を行うこと
- 投資内容が業務改善に寄与すること
引上げ額と引上げる労働者数
賃金引上げ額と対象労働者数の組み合わせにより、助成上限額が決定されます。
賃金引上げ額の選択肢
- 30円コース
- 45円コース
- 60円コース
- 90円コース
引上げる労働者数
- 1人
- 2〜3人
- 4〜6人
- 7人以上
- 10人以上
3.助成対象となる事業場
基本要件
- 中小企業・小規模事業者であること
- 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること
- 解雇、賃金引下げ等の不交付事由がないこと
中小企業の定義
業種別の資本金・従業員数要件
- 小売業:資本金5,000万円以下または従業員50人以下
- サービス業:資本金5,000万円以下または従業員100人以下
- 卸売業:資本金1億円以下または従業員100人以下
- その他:資本金3億円以下または従業員300人以下
4.助成率と助成上限額
助成率
事業場内最低賃金により助成率が異なります:
事業場内最低賃金950円未満
- 9/10(90%)
事業場内最低賃金950円以上
- 3/4(75%)
- 生産性要件を満たした場合:4/5(80%)
助成上限額
賃金引上げ額と引上げる労働者数により決定:
30円コースの例
- 1人:30万円
- 2〜3人:50万円
- 4〜6人:70万円
- 7人以上:100万円
90円コースの例
- 1人:90万円
- 2〜3人:150万円
- 4〜6人:230万円
- 7人以上:450万円
- 10人以上:600万円
5.対象となる経費
設備投資等
- POSレジシステム
- 自動釣銭機
- 自動精算機
- キャッシュレス決済端末
- 在庫管理システム
- 顧客管理システム
- 勤怠管理システム
- 生産設備・機械装置
コンサルティング
- 業務フロー見直し
- 効率的な店舗レイアウトへの変更
- 専門家による業務改善指導
人材育成・教育訓練
- 生産性向上に資する研修
- 外部講師による訓練
- デジタル化対応研修
その他
- 上記に関連する経費で生産性向上に資するもの
6.申請の流れ
1. 交付申請(事前申請)
設備投資等を行う前に、必ず交付申請を行います。
必要書類
- 交付申請書
- 事業実施計画書
- 見積書(2社以上)
- 事業場内最低賃金の確認書類
2. 交付決定
労働局で審査後、交付決定通知が送付されます。
注意点
- 交付決定前の発注・契約は助成対象外
- 不明な点は事前に労働局に相談
3. 事業実施
交付決定後、計画に基づいて事業を実施します。
実施期間
- 交付決定日から起算して原則3か月以内
4. 実績報告
事業完了後、速やかに実績報告を行います。
必要書類
- 事業実績報告書
- 領収書等の支出証拠書類
- 賃金台帳
- 労働者名簿
- 納品書・完了報告書
5. 助成金の支給
実績報告の審査後、助成金が支給されます。
7.2025年度の主な変更点・注意事項
- 物価高騰対策として助成上限額が拡充傾向
- デジタル化・DX推進設備への重点支援
- 申請手続きのオンライン化が進展
- 事前申請の徹底(事後申請は不可)
8.よくある質問
Q1. 設備投資等は必ず行わなければいけませんか?
A.はい、業務改善助成金は生産性向上のための設備投資等と賃金引上げをセットで行うことが要件となっています。
Q2. 複数年度にわたって申請できますか?
A.同一年度内に複数回の申請はできませんが、年度が変われば再度申請可能です。ただし、過去に受給した場合は一定の制限があります。
Q3. パート・アルバイトも賃金引上げの対象になりますか?
A.はい、雇用形態に関わらず、事業場で最も低い賃金の労働者が対象となります。
Q4. 助成金は課税対象ですか?
A.はい、法人税(個人事業主の場合は所得税)の課税対象となります。会計処理にご注意ください。
9.まとめ
業務改善助成金は、賃金引上げと生産性向上を同時に実現できる、中小企業にとって非常に有益な制度です。設備投資により業務効率を高めながら、従業員の待遇改善も図ることができます。
申請は必ず設備投資等の実施前に行う必要があるため、計画的な準備が重要です。まずは自社の事業場内最低賃金を確認し、どの程度の引上げが可能か検討することから始めましょう。
最新の情報や詳細な要件については、厚生労働省のホームページや最寄りの労働局でご確認ください。
※本記事の内容は2025年1月時点の情報に基づいています。制度は変更される可能性がありますので、申請時は必ず最新情報をご確認ください。