助成金がもらえないケースとは?|不支給となる理由と対策を徹底解説
「要件を満たしているはずなのに、なぜか不支給になった…」 「申請したのに助成金がもらえなかった会社があるらしい」 「うちの会社は何か問題があって対象外なのかも…」
助成金申請を検討している、あるいは実際に申請して不支給となった経営者の方から、このような声をよく聞きます。せっかく時間と労力をかけて申請したのに、助成金がもらえないとなれば、ショックは計り知れません。
結論から申し上げると、助成金が不支給となるケースには明確なパターンがあり、そのほとんどは事前に防ぐことができます。重要なのは、なぜ不支給となるのかを正しく理解し、適切な対策を講じることです。
この記事では、社会保険労務士事務所として数多くの助成金申請をサポートし、不支給となったケースも分析してきた経験をもとに、助成金がもらえない具体的なケースとその対策について詳しく解説します。これから申請を検討している方も、過去に不支給となった経験がある方も、ぜひ最後までお読みください。
【目次】
1.助成金がもらえないケースとは?
絶対的な不支給要件
助成金には、どんなに他の条件が整っていても、これに該当したら絶対に支給されない「絶対的な不支給要件」が存在します。これらを理解することが、不支給を防ぐ第一歩となります。
- 労働保険料の滞納 労働保険料を滞納している事業主は、いかなる助成金も受給できません。これは助成金の財源が労働保険料であることから、当然の要件と言えます。過去2年間の労働保険料をすべて納付していることが必要で、分納中であっても滞納扱いとなります。ただし、納付計画に基づいて適正に分納している場合は、個別に相談できる可能性があります。
- 過去3年以内の不正受給 過去3年以内に助成金の不正受給を行った事業主は、すべての助成金が不支給となります。これは他の助成金での不正も含まれるため、一度でも不正受給があると、3年間はいかなる助成金も受給できません。さらに、不正受給企業は企業名が公表されることもあり、社会的信用も失うことになります。
- 過去1年以内の労働関係法令違反 労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法など、労働関係法令に重大な違反があった場合は不支給となります。例えば、労働基準監督署から是正勧告を受けて改善していない、最低賃金を下回る賃金を支払っていた、違法な長時間労働をさせていたなどのケースが該当します。軽微な違反でも、繰り返している場合は重大な違反と見なされることがあります。
- 暴力団関係事業主 暴力団関係者が経営に関与している事業所は、当然ながら助成金の対象外です。これは反社会的勢力の排除という観点から設けられている要件で、役員だけでなく、実質的に経営に関与している者も含まれます。
- 性風俗関連営業 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に規定する性風俗関連特殊営業を行う事業主は、助成金の対象外となります。ただし、同法に規定する接待飲食等営業(キャバクラ、ホストクラブ等)は、一部の助成金では対象となる場合があります。
申請ミスによる不支給
要件を満たしているにも関わらず、申請段階のミスで不支給となるケースも少なくありません。これらは事前の注意で防げるものばかりです。
- 申請期限の超過 最も多い不支給理由の一つが申請期限の超過です。助成金には厳格な申請期限が設定されており、1日でも遅れると受付されません。「締切日の消印有効」なのか「必着」なのかの違いも重要で、必着の場合は郵送の遅れも考慮する必要があります。年末年始や大型連休を挟む場合は特に注意が必要です。
- 必要書類の不備・不足 申請に必要な書類が揃っていない、記載内容に不備があるといったケースも多く見られます。特に、賃金台帳や出勤簿などの法定帳簿が適切に作成されていない場合、後から作成しても認められません。また、就業規則の労働基準監督署への届出を忘れているケースも散見されます。
- 対象労働者の要件不適合 対象労働者が実は要件を満たしていなかったというケースもあります。例えば、キャリアアップ助成金で正社員化する労働者が、過去に正社員だった期間があることを見落としていた、雇用期間の計算を間違えていたなど、詳細な確認不足が原因となることが多いです。
- 計画書の未提出・不認定 多くの助成金では、実施前に計画書の提出と認定が必要です。この手続きを忘れて先に実施してしまうと、後から申請しても認められません。また、計画書を提出しても、内容が不適切で認定されないケースもあります。
実施段階での問題
申請は適切に行われても、実施段階での問題により不支給となるケースもあります。
- 計画どおりに実施されていない 認定された計画から大きく逸脱した実施内容では、助成金は支給されません。例えば、計画した研修時間に満たない、予定していた設備投資を行わなかった、対象労働者が途中で退職したなどのケースです。やむを得ない事情がある場合は、事前に変更申請を行う必要があります。
- 支給申請時の要件未達成 実施は適切でも、支給申請時点で要件を満たしていないケースがあります。典型的なのは、正社員化後6ヶ月以内に解雇してしまった、賃金の増額要件を満たしていなかった、出勤率が基準に達していなかったなどです。
- 不適切な労務管理 助成金の実施期間中に労務管理上の問題が発生すると、不支給となることがあります。例えば、残業代の未払い、有給休暇を取得させていない、労災隠しなどが発覚した場合、たとえ助成金の要件を満たしていても支給されません。
- 虚偽の申請・報告 最も重大なのが虚偽の申請や報告です。実際には実施していない研修を実施したことにする、労働時間を改ざんする、架空の労働者を申請するなど、いかなる虚偽も許されません。これらは不支給だけでなく、不正受給として刑事告発される可能性もあります。
2.よくある誤解の背景
誤解1:要件を満たせば必ずもらえる
誤解の内容 「要件さえ満たしていれば、助成金は必ずもらえる」と考えている方が多くいます。
真実 要件を満たすことは最低条件であり、それだけでは不十分です。
助成金の支給には、形式的な要件充足だけでなく、実質的な審査も行われます。例えば、書類上は要件を満たしていても、実地調査で問題が発覚すれば不支給となります。また、申請が集中して予算を超過した場合、要件を満たしていても支給されない可能性がある助成金も一部存在します。
さらに重要なのは、助成金の趣旨に沿った活用がされているかという点です。形式的に要件を満たしていても、明らかに助成金目的だけの取り組みと判断されれば、不支給となることもあります。例えば、助成金受給後すぐに対象者を解雇する計画が見え隠れするようなケースです。
誤解2:小さなミスは見逃される
誤解の内容 「些細なミスくらいは大目に見てもらえるだろう」という甘い考えを持つ方がいます。
真実 助成金審査は極めて厳格で、小さなミスも見逃されません。
助成金は税金を原資とする公的資金であるため、その審査は非常に厳格です。誤字脱字、計算ミス、日付の誤りなど、一見些細に見えるミスでも、それが要件に関わる部分であれば不支給理由となります。
例えば、賃金台帳の計算が1円違っていた、労働時間の端数処理を間違えた、提出書類の日付が1日ずれていたなど、「これくらいなら」と思うようなミスでも、審査では厳しくチェックされます。特に、労働者の不利益につながるミスは、たとえ軽微でも重大視されます。
誤解3:後から修正できる
誤解の内容 「申請後に不備が見つかっても、指摘されてから修正すればいい」と考える方がいます。
真実 多くの場合、後からの修正は認められません。
助成金申請では、提出時点での書類の完全性が求められます。提出後に不備を指摘されても、多くの場合は修正の機会は与えられず、そのまま不支給となります。特に、申請期限がある助成金では、再提出する時間的余裕もありません。
また、実施内容についても、事後的な修正は基本的に認められません。例えば、研修を計画どおり実施しなかったことに後から気づいても、追加で研修を行って帳尻を合わせることはできません。重要なのは、申請前、実施前の入念な確認です。
誤解4:不支給は運が悪かった
誤解の内容 「不支給になったのは運が悪かっただけ」と考え、原因を分析しない方がいます。
真実 不支給には必ず明確な理由があり、そのほとんどは防げるものです。
不支給となったケースを詳しく分析すると、必ず具体的な理由が存在します。それは要件の理解不足、書類の不備、手続きの誤り、実施上の問題など、事前の準備と注意で防げるものがほとんどです。
「運が悪かった」と片付けてしまうと、同じ失敗を繰り返すことになります。不支給となった場合は、その理由を正確に把握し、次回の申請に活かすことが重要です。多くの労働局では、不支給理由を開示してくれるので、必ず確認して改善につなげましょう。
3.専門的な視点から見た不支給対策
社会保険労務士としての見解
当事務所では、これまで数百件の助成金申請をサポートしてきましたが、その中で不支給となったケースも経験しています。その経験から言えることは、不支給の99%は事前の準備不足が原因だということです。
不支給を防ぐために最も重要なのは、「助成金ありき」ではなく「経営改善ありき」の姿勢です。助成金はあくまで経営改善の手段であり、目的ではありません。この基本姿勢があれば、自然と助成金の趣旨に沿った活用ができ、不支給リスクも大幅に減少します。
また、多くの事業主が陥りがちなのが「自己流」での申請です。インターネットの情報だけを頼りに申請する方も多いですが、助成金は個別の状況により要件の解釈が異なることも多く、画一的な情報だけでは不十分です。特に初めての申請では、専門家のアドバイスを受けることを強く推奨します。
さらに重要なのは、日頃からの労務管理の適正化です。助成金申請を機に慌てて書類を整備しても、過去に遡っての修正はできません。普段から法令に則った労務管理を行っていれば、助成金申請もスムーズに進みます。
不支給を防ぐチェックポイント
不支給を防ぐための重要なチェックポイントを段階別に整理します。
- 申請検討段階でのチェック まず、自社が本当に要件を満たしているか、客観的に確認することが重要です。特に、労働保険料の納付状況、過去の法令違反の有無、対象労働者の適格性などは、早い段階で確認しておく必要があります。また、助成金の趣旨を正しく理解し、自社の経営方針と合致しているかも重要な確認事項です。
- 計画作成段階でのチェック 計画書の作成では、実現可能性を重視することが大切です。理想的な計画を立てても、実際に実行できなければ意味がありません。人員体制、予算、スケジュールなど、あらゆる角度から実現可能性を検証し、確実に実行できる計画を立てることが不支給を防ぐ鍵となります。
- 実施段階でのチェック 計画の実施中は、常に計画との整合性を確認しながら進める必要があります。やむを得ず変更が必要な場合は、速やかに変更申請を行うことが重要です。また、証拠書類の保管も忘れてはいけません。写真、出席簿、領収書など、後から作成できない書類は確実に保管しましょう。
- 申請段階でのチェック 申請書類の作成では、記載内容の正確性と整合性が求められます。複数の書類間で矛盾がないか、計算ミスはないか、必要な添付書類は揃っているかなど、提出前の最終チェックは入念に行う必要があります。可能であれば、第三者によるダブルチェックも有効です。
リカバリーの方法
万が一、不支給となってしまった場合のリカバリー方法についても触れておきます。
- 不支給理由の正確な把握 まずは、なぜ不支給となったのか、その理由を正確に把握することが重要です。労働局に問い合わせれば、多くの場合、不支給理由を教えてもらえます。感情的にならず、冷静に理由を分析し、改善点を明確にしましょう。
- 改善策の実施 不支給理由が判明したら、それを改善するための具体的な対策を講じます。書類の不備であれば管理体制の見直し、要件の理解不足であれば専門家への相談、実施上の問題であれば業務フローの改善など、根本的な改善を図ることが重要です。
- 再チャレンジの準備 多くの助成金は、不支給となっても条件を満たせば再度申請することが可能です。ただし、同じ失敗を繰り返さないよう、十分な準備期間を設けることが大切です。また、別の助成金の活用を検討することも有効な選択肢となります。
4.具体的な不支給事例と教訓
事例1:書類不備による不支給(製造業A社)
状況 従業員20名の製造業A社は、キャリアアップ助成金の正社員化コースを申請。パート従業員3名を正社員化する計画でした。
問題点 申請書類の中で、就業規則の改定を行っていたにも関わらず、労働基準監督署への届出を忘れていました。さらに、賃金台帳の一部に記載漏れがあり、正確な賃金額が確認できない状態でした。
結果と教訓 書類不備により不支給となりました。この事例から学ぶべきは、就業規則の改定時は必ず労基署への届出を確認すること、日常的な帳簿類の整備が重要だということです。後日、体制を整備して再申請し、無事受給できました。
事例2:計画逸脱による不支給(小売業B社)
状況 従業員15名の小売業B社は、人材開発支援助成金を活用して、接客研修を実施する計画でした。
問題点 当初30時間の研修を計画していましたが、繁忙期と重なったため、実際には20時間しか実施できませんでした。また、変更申請を行わずに、そのまま支給申請を行いました。
結果と教訓 計画時間に満たない研修実施により不支給となりました。重要なのは、実施可能な計画を立てることと、変更が生じた場合は速やかに変更申請を行うことです。繁忙期を避けた計画立案の重要性も再認識されました。
事例3:対象者要件の誤認(サービス業C社)
状況 従業員30名のサービス業C社は、特定求職者雇用開発助成金を申請。60歳の高齢者を雇用しました。
問題点 対象者が「65歳以上」という要件を「60歳以上」と誤認していました。また、ハローワークの紹介ではなく、自社求人で採用していました。
結果と教訓 要件不適合により不支給となりました。助成金の要件は細かく設定されているため、思い込みではなく、必ず正確に確認することが重要です。専門家に相談していれば防げた事例でした。
事例4:実施期間中の法令違反(飲食業D社)
状況 従業員25名の飲食業D社は、キャリアアップ助成金で5名の正社員化を実施しました。
問題点 正社員化後の期間中に、労働基準監督署の調査が入り、一部の従業員への残業代未払いが発覚。是正勧告を受けました。
結果と教訓 労働関係法令違反により不支給となりました。助成金申請の有無に関わらず、日頃から適正な労務管理を行うことの重要性を示す事例です。問題を改善し、翌年度に新たな対象者で申請し直しました。
5.不支給を防ぐための準備
基本的な労務管理体制の整備
不支給を防ぐための最も重要な準備は、日常的な労務管理体制の整備です。
労働者名簿・賃金台帳・出勤簿の適正管理 これらの法定三帳簿は、すべての助成金申請の基礎となる重要書類です。日付、労働時間、賃金額など、正確に記録し、最低3年間は保管する必要があります。エクセルでの管理でも構いませんが、改ざんができないよう、定期的にバックアップを取ることが重要です。
就業規則の整備と周知 10人以上の事業所では作成・届出が義務ですが、10人未満でも助成金申請では必要となることが多いです。重要なのは、実態に合った内容にすることと、従業員への周知を確実に行うことです。形だけの就業規則では、いざという時に問題となります。
労働保険・社会保険の適正加入 加入義務がある事業所は必ず加入し、保険料も期限内に納付することが基本です。特に、従業員が増えて加入義務が生じた場合は、速やかに手続きを行う必要があります。未加入期間があると、その間の助成金はすべて対象外となります。
計画的な助成金活用
場当たり的な助成金申請ではなく、計画的な活用が不支給を防ぐ鍵となります。
年間スケジュールの作成 年度初めに、どの時期にどの助成金を活用するか、年間計画を立てることをお勧めします。これにより、必要な準備期間を確保でき、繁忙期との重複も避けられます。また、複数の助成金を組み合わせる場合の調整もしやすくなります。
段階的な実施計画 いきなり大規模な取り組みをするのではなく、小規模から始めて徐々に拡大する方が成功率は高くなります。最初は対象者1〜2名で経験を積み、ノウハウを蓄積してから本格的に展開することで、失敗のリスクを最小限に抑えられます。
専門家との連携体制 社会保険労務士などの専門家と顧問契約を結んでおくことで、常に最新の情報を得られ、申請時のサポートも受けられます。費用はかかりますが、不支給となるリスクを考えれば、十分に投資価値があります。
申請前の最終確認
申請前には、以下の点を必ず確認しましょう。
チェックリストの活用 要件確認、必要書類、記載内容など、チェックすべき項目をリスト化し、一つずつ確認していきます。思い込みや見落としを防ぐため、できれば複数人でチェックすることが理想的です。
シミュレーションの実施 特に初めての助成金では、申請から受給までの流れをシミュレーションしておくことが重要です。いつ、何を、どのように実施するのか、具体的にイメージすることで、実施段階での混乱を防げます。
リスク要因の洗い出し 自社にとってのリスク要因を事前に洗い出し、対策を講じておきます。例えば、対象者の退職リスクが高い場合は予備の対象者を準備する、繁忙期と重なる可能性がある場合は余裕を持ったスケジュールにするなど、事前の対策が重要です。
6.もし不支給となったら
冷静な対応
不支給通知を受けた時は、誰でもショックを受けます。しかし、感情的になっても状況は改善しません。まずは冷静に、以下の対応を取ることが重要です。
不支給理由の確認 労働局に連絡し、不支給となった具体的な理由を確認します。電話では詳細が分かりにくい場合は、直接訪問して説明を受けることも可能です。理由を正確に把握することが、次のステップへの第一歩となります。
社内での情報共有 不支給理由を関係者と共有し、何が問題だったのか、どうすれば防げたのかを議論します。失敗を個人の責任にするのではなく、組織として学ぶ機会と捉えることが大切です。
改善計画の策定 問題点が明確になったら、それを改善するための具体的な計画を立てます。単に「次は気をつける」では不十分で、仕組みやルールの見直しなど、再発防止策を明確にする必要があります。
次回への準備
一度の失敗で諦める必要はありません。多くの企業が、失敗を糧により良い形で助成金を活用しています。
根本的な体制整備 不支給の原因が労務管理体制の不備にある場合は、これを機に根本的な見直しを行います。一時的な対症療法ではなく、持続可能な管理体制を構築することで、将来的にも安定した助成金活用が可能になります。
専門家の活用検討 自社だけでの対応に限界を感じた場合は、専門家の活用を検討します。費用対効果を考えると、確実に受給できる可能性が高まることから、多くの企業が専門家を活用しています。
代替案の検討 不支給となった助成金に固執せず、他の助成金の活用も検討します。同じ目的を達成できる別の助成金が存在することも多く、視野を広げることで新たな可能性が見えてくることもあります。
7.まとめ
助成金が不支給となるケースには明確なパターンがあり、その多くは事前の準備と注意で防ぐことができます。
まず理解すべきは、労働保険料の滞納、過去の不正受給、労働関係法令違反など、絶対的な不支給要件です。これらに該当する場合は、どんなに他の条件が整っていても助成金は受給できません。日頃からコンプライアンスを重視した経営が求められます。
次に重要なのは、申請段階でのミスを防ぐことです。申請期限の超過、必要書類の不備、対象者要件の誤認など、多くは確認不足が原因です。思い込みや自己流ではなく、正確な情報に基づいた申請準備が不可欠です。
実施段階では、計画どおりの実施と適切な労務管理が鍵となります。計画からの逸脱、要件の未達成、実施期間中の法令違反などは、すべて不支給理由となります。無理のない実施計画と、変更時の適切な対応が重要です。
そして最も大切なのは、「助成金ありき」ではなく「経営改善ありき」の姿勢です。助成金の趣旨を理解し、真に自社の成長につながる活用を心がければ、自然と不支給リスクは低減します。
当事務所では、多くの成功事例とともに、失敗事例からも多くを学んできました。その経験から言えることは、適切な準備と実施により、ほとんどの不支給は防げるということです。
もし過去に不支給となった経験がある方も、その経験を活かして再チャレンジすることをお勧めします。また、これから初めて申請する方は、本記事で紹介した注意点を参考に、確実な受給を目指してください。
助成金は、適切に活用すれば企業成長の大きな力となります。不支給を恐れるあまり活用を諦めるのではなく、正しい知識と準備により、確実な受給を実現していきましょう。
※本記事の内容は2025年1月時点の情報に基づいています。制度は変更される可能性がありますので、申請時は必ず最新情報をご確認ください。