建設業・工事業向け|デジタコ・IT機器導入で使える助成金完全マップ2025

  • 【目次】
  1. 建設業・工事業が直面する2024年問題とIT化の必要性
  2. 助成金①:IT導入補助金(デジタル化基盤導入枠)
  3. 助成金②:働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)
  4. 助成金③:業務改善助成金(生産性向上支援)
  5. 助成金④:地方自治体の建設業IT化支援事業
  6. デジタコ・IT機器導入で活用できる助成金の比較表
  7. 申請のポイントと成功事例
  8. まとめ:建設業のIT化助成金活用チェックリスト

はじめに

建設業・工事業では、2024年問題(働き方改革関連法の適用)により、労働時間管理の厳格化が求められています。デジタルタコグラフ(デジタコ)やIT機器の導入は、もはや選択肢ではなく必須となっています。

 

本記事では、建設業・工事業がデジタコやIT機器を導入する際に活用できる助成金・補助金を網羅的に解説します。この記事を読めば、自社に最適な助成金を見つけ、IT化のコストを大幅に削減できるようになるでしょう。

 

 

建設業・工事業が直面する2024年問題とIT化の必要性

1-1. 2024年問題とは

2024年4月から、建設業にも働き方改革関連法が適用され、時間外労働の上限規制が導入されました。これにより、労働時間の正確な把握と管理が法的義務となっています。

主な規制内容:
– 時間外労働の上限: 月45時間、年360時間
– 特別条項付きでも年720時間まで
– 違反した場合: 罰則(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)

 

1-2. IT化が必要な理由

| 課題 | IT化による解決 |
|—|—|
| 労働時間の正確な把握 | デジタコ、勤怠管理システムで自動記録 |
| 書類作成の負担 | 施工管理アプリで効率化 |
| 現場と事務所の情報共有 | クラウドシステムでリアルタイム共有 |
| 人手不足 | IT化により少人数で業務遂行 |

 

1-3. IT化のコスト

導入コストの例:
– デジタルタコグラフ: 1台3万円〜10万円
– 勤怠管理システム: 月額300円〜1,000円/人
– 施工管理アプリ: 月額1万円〜5万円
– 10台規模の導入: 初期費用50万円〜100万円

このコストを助成金で軽減できます。

助成金①:IT導入補助金(デジタル化基盤導入枠)

2-1. 制度概要

IT導入補助金は、中小企業のIT化を支援する国の補助金制度です。デジタコや勤怠管理システムなどのITツール導入に活用できます。

制度の基本情報:

| 項目 | 内容 |
|—|—|
| 補助上限額 | 50万円〜350万円 |
| 補助率 | 1/2〜3/4 |
| 対象経費 | ソフトウェア購入費、クラウド利用料、ハードウェア購入費 |
| 公募頻度 | 年3〜4回 |
| 採択率 | 60〜80% |

 

2-2. 建設業での活用例

活用例①:デジタコ+勤怠管理システム
– 投資額: 100万円
– 補助金: 75万円(補助率3/4、上限内)
– 自己負担: 25万円

活用例②:施工管理アプリ+クラウドシステム
– 投資額: 200万円
– 補助金: 150万円(補助率3/4、上限内)
– 自己負担: 50万円

 

2-3. 対象となるITツール

対象ツールの例:
– デジタルタコグラフ
– 勤怠管理システム
– 施工管理アプリ
– 会計ソフト
– 顧客管理システム(CRM)
– クラウドストレージ

注意点: IT導入補助金の対象となるのは、事前に登録されたITツールのみです。補助金申請前に、導入予定のツールが対象かを確認しましょう。

助成金②:働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)

3-1. 制度概要

働き方改革推進支援助成金は、労働時間の短縮や年次有給休暇の取得促進に取り組む中小企業を支援する厚生労働省の助成金です。

制度の基本情報:

| 項目 | 内容 |
|—|—|
| 助成上限額 | 最大490万円 |
| 助成率 | 3/4〜4/5 |
| 対象経費 | 勤怠管理システム、労務管理ソフト、専門家費用 |
| 公募頻度 | 通年(予算がなくなり次第終了) |
| 採択率 | 70〜90%(要件を満たせば高確率) |

 

3-2. 建設業での活用例

活用例:勤怠管理システムの導入
– 投資額: 80万円
– 助成金: 60万円(助成率3/4)
– 自己負担: 20万円

導入効果:
– 労働時間の正確な把握
– 時間外労働の削減(月平均50時間→45時間)
– 年次有給休暇の取得促進(取得率40%→70%)

3-3. 助成の条件

主な条件:
1. 労働時間の短縮に取り組むこと
2. 年次有給休暇の取得促進に取り組むこと
3. 36協定を締結していること
4. 労働時間等設定改善委員会を設置すること(または労使の話し合いの場を設けること)

助成金③:業務改善助成金(生産性向上支援)

4-1. 制度概要

業務改善助成金は、生産性向上のための設備投資を行い、最低賃金を引き上げる中小企業を支援する厚生労働省の助成金です。

制度の基本情報:

| 項目 | 内容 |
|—|—|
| 助成上限額 | 30万円〜600万円(引上げ人数による) |
| 助成率 | 3/4〜9/10 |
| 対象経費 | 設備投資、システム導入、専門家費用 |
| 条件 | 最低賃金を30円以上引き上げること |
| 採択率 | 60〜80% |

 

4-2. 建設業での活用例

活用例:施工管理アプリの導入
– 投資額: 120万円
– 助成金: 90万円(助成率3/4)
– 自己負担: 30万円

賃上げ計画:
– 対象従業員: 10名
– 賃上げ額: 時給30円アップ
– 年間コスト増: 約60万円

生産性向上効果:
– 書類作成時間: 50%削減
– 現場と事務所の情報共有: リアルタイム化
– 年間労働時間: 1,000時間削減

 

4-3. 助成額の計算

| 引上げ人数 | 引上げ額 | 助成上限額 | 助成率 |
|—|—|—|—|
| 1名 | 30円以上 | 30万円 | 3/4 |
| 2〜3名 | 30円以上 | 50万円 | 3/4 |
| 4〜6名 | 30円以上 | 70万円 | 3/4 |
| 7名以上 | 30円以上 | 100万円〜600万円 | 3/4〜9/10 |

助成金④:地方自治体の建設業IT化支援事業

 5-1. 制度概要

都道府県や市区町村が独自に実施する建設業向けのIT化支援事業です。地域によって制度内容が異なります。

主な地方自治体の制度例:

| 自治体 | 制度名 | 助成上限額 | 助成率 | 特徴 |
|—|—|—|—|—|
| 東京都 | 建設業働き方改革推進事業 | 100万円 | 2/3 | 勤怠管理システムが対象 |
| 神奈川県 | 建設業IT化促進補助金 | 50万円 | 1/2 | デジタコ、施工管理アプリが対象 |
| 大阪府 | 建設業生産性向上支援事業 | 80万円 | 2/3 | IT機器全般が対象 |

 

5-2. 地方自治体助成金の特徴

メリット:
– 国の助成金と併用できる場合がある
– 採択率が比較的高い(60〜80%)
– 申請手続きが簡素

デメリット:
– 助成上限額が低い(30万円〜100万円)
– 対象地域が限定される
– 予算枠が小さく、早期に締め切られる場合がある

 

5-3. 併用戦略

国の助成金と地方自治体の助成金を併用することで、助成金総額を最大化できます。

併用例:
– IT導入補助金(国): 75万円(デジタコ+勤怠管理システム)
– 東京都建設業働き方改革推進事業: 50万円(施工管理アプリ)
– 合計: 125万円の助成金獲得

デジタコ・IT機器導入で活用できる助成金の比較表

| 助成金名 | 助成上限額 | 助成率 | 対象経費 | 採択率 | 特徴 |
|—|—|—|—|—|—|
| IT導入補助金 | 50万円〜350万円 | 1/2〜3/4 | ITツール全般 | 60〜80% | 最も一般的 |
| 働き方改革推進支援助成金 | 最大490万円 | 3/4〜4/5 | 勤怠管理システムなど | 70〜90% | 労働時間短縮が条件 |
| 業務改善助成金 | 30万円〜600万円 | 3/4〜9/10 | 設備投資全般 | 60〜80% | 賃上げが条件 |
| 地方自治体助成金 | 30万円〜100万円 | 1/2〜2/3 | 地域による | 60〜80% | 併用可能な場合あり |

申請のポイントと成功事例

7-1. 申請のポイント

ポイント①:労働時間削減効果を数値で示す
– 「書類作成時間が50%削減」
– 「時間外労働が月平均50時間から45時間に削減」

ポイント②:法令遵守の必要性を強調
– 「2024年問題への対応が急務」
– 「労働時間の正確な把握が法的義務」

ポイント③:生産性向上効果を示す
– 「現場と事務所の情報共有がリアルタイム化」
– 「受注から完工までの期間が20%短縮」

 

 

7-2. 成功事例:建設業A社

企業プロフィール:
– 業種: 建設業(土木工事)
– 従業員数: 25名
– 年商: 5億円

導入内容:
– デジタルタコグラフ: 15台(45万円)
– 勤怠管理システム: 25名分(60万円)
– 施工管理アプリ: 1式(50万円)
– 投資総額: 155万円

助成金獲得:
– IT導入補助金: 116万円(補助率3/4)
– 自己負担: 39万円

導入効果:
– 労働時間の正確な把握が実現
– 時間外労働が月平均15%削減
– 書類作成時間が40%削減
– 法令遵守体制の確立

 

7-3. 申請書の記載例(抜粋)

「当社は土木工事を主業務としていますが、2024年問題への対応が急務です。現在、労働時間の把握は手書きの日報に頼っており、正確性に欠けています。デジタルタコグラフと勤怠管理システムを導入することで、労働時間の正確な把握を実現し、時間外労働を月平均50時間から45時間に削減します。また、施工管理アプリにより、現場と事務所の情報共有をリアルタイム化し、書類作成時間を40%削減します。」

まとめ:建設業のIT化助成金活用チェックリスト

建設業・工事業がデジタコ・IT機器導入で助成金を活用するためには、以下のチェックリストを活用しましょう。

| チェック項目 | 確認内容 |
|—|—|
| 助成金の選定 | □ IT導入補助金を検討したか?□ 働き方改革推進支援助成金を検討したか?□ 業務改善助成金を検討したか?<br>□ 地方自治体の助成金を調査したか? |
| 導入効果の明確化 | □ 労働時間削減効果を数値で示したか?□ 生産性向上効果を示したか?□ 法令遵守の必要性を強調したか? |
| 申請書の内容 | □ 2024年問題への対応を説明したか?<br>□ 具体的な導入計画を記載したか?□ 投資回収計画を作成したか? |
| 併用戦略 | □ 国と地方の助成金併用を検討したか? |

建設業・工事業の2024年問題への対応は、もはや待ったなしです。助成金を活用してデジタコやIT機器を導入し、法令遵守と生産性向上を同時に実現しましょう。ぜひ、本記事のポイントを参考に、助成金申請に挑戦してください。

補助金・助成金申請でお困りの方へ

補助金・助成金の申請は、制度の選定から事業計画書の作成、必要書類の準備まで、多くの専門知識と時間を要します。特に、建設業・工事業では、2024年問題への対応や労働時間管理の厳格化など、業界特有の課題を適切に表現することが求められます。

 

実は、多くの社会保険労務士は助成金には詳しくても、補助金の申請支援については十分な経験やノウハウを持っていないケースが少なくありません。 また、助成金と補助金では制度の目的も申請プロセスも大きく異なるため、それぞれに特化した専門性が必要です。

当センターでは、各種補助金・助成金の申請支援において、豊富な実績とノウハウを持つ専門家が、あなたの事業計画の策定から申請書類の作成、採択後のフォローまで、一貫してサポートいたします。

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