補助金の「併用」は可能か?|国・県・市の制度を組み合わせて最大1,200万円獲得する方法

  • 【目次】
  1. 1. 補助金の併用に関する基本ルール
  2. 2. 併用可能なパターン①:国+都道府県+市区町村
  3. 3. 併用可能なパターン②:異なる事業目的での複数申請
  4. 4. 併用可能なパターン③:時期をずらした連続申請
  5. 5. 併用不可のパターンと注意点
  6. 6. 最大1,200万円獲得の具体的シナリオ
  7. 7. 併用申請の実務ポイントと成功事例
  8. 8. まとめ:補助金併用で獲得額を最大化するチェックリスト

はじめに

多くの経営者が「補助金は1つしか申請できない」と誤解していますが、実は**国・県・市の補助金制度を組み合わせることで、複数の補助金を併用できる**ケースがあります。適切な併用戦略を立てることで、補助金総額を最大1,200万円以上に引き上げることも可能です。

本記事では、補助金の併用ルール、具体的な併用パターン、申請時の注意点を徹底解説します。この記事を読めば、補助金を最大限活用し、投資リスクを大幅に軽減できるようになるでしょう。

 

補助金の併用に関する基本ルール

1-1. 併用の大原則

補助金併用の大原則は、「同じ経費に対して、複数の補助金を重複して受け取ることはできない」というものです。

NG例: 500万円の設備Aに対して、国の補助金250万円と県の補助金150万円を同時に受け取る(合計400万円)

OK例: 500万円の設備Aに国の補助金250万円、300万円の設備Bに県の補助金100万円を受け取る(合計350万円)

 

1-2. 併用可能性の確認方法

各補助金の公募要領には、「他の補助金との併用」に関する記載があります。申請前に必ず確認しましょう。

確認項目:
– 「他の国庫補助金との併用は不可」
– 「地方自治体の補助金との併用は可能」
– 「同一経費への重複受給は不可」

 

1-3. 併用のメリット

| メリット | 内容 |
|—|—|
| 補助金総額の最大化 | 複数の補助金を組み合わせることで、総額を増やせる |
| リスク分散 | 一方が不採択でも、もう一方で補助を受けられる |
| 申請機会の増加 | 年間を通じて複数回の申請機会を得られる |
| 自己負担の軽減 | 補助金総額が増えることで、自己負担が減る |

併用可能なパターン①:国+都道府県+市区町村

2-1. 国・県・市の3層構造

日本の補助金制度は、国・都道府県・市区町村の3層構造になっています。それぞれの層で異なる補助金を受け取ることが可能です。

併用例:
– 国: ものづくり補助金で750万円
– 県: 神奈川県設備投資補助金で300万円
– 市: 横浜市中小企業設備投資助成で150万円
– 合計: 1,200万円

 

2-2. 経費の分割が鍵

国・県・市の補助金を併用する場合、**経費を明確に分割**することが重要です。

経費分割の例:

| 設備 | 金額 | 補助金 | 補助額 |
|—|—|—|—|
| 設備A(生産設備) | 1,500万円 | 国(ものづくり補助金) | 750万円 |
| 設備B(検査機器) | 600万円 | 県(設備投資補助金) | 300万円 |
| 設備C(IT機器) | 300万円 | 市(設備投資助成) | 150万円 |
| 合計 | 2,400万円 | – | 1,200万円 |

 

2-3. 注意点

– 各補助金の対象経費が重複しないように注意
– 申請書には「他の補助金との併用状況」を正確に記載
– 実績報告時に経費の内訳を明確に示す

併用可能なパターン②:異なる事業目的での複数申請

3-1. 事業目的が異なれば併用可能

同じ年度でも、**事業目的が異なれば複数の補助金を申請できる**場合があります。

併用例:
– 事業A(生産性向上): ものづくり補助金で750万円
– 事業B(販路開拓): 小規模事業者持続化補助金で200万円
– 合計: 950万円

 

3-2. 事業の明確な区分が必要

事業目的が異なることを明確に示すため、以下の点を区別します。

| 区分項目 | 事業A | 事業B |
|—|—|—|
| 目的 | 生産性向上 | 販路開拓 |
| 実施内容 | 生産設備の導入 | ホームページ制作、展示会出展 |
| 対象経費 | 設備費、工事費 | 広告宣伝費、展示会出展費 |
| 期待効果 | 生産能力2倍 | 新規顧客100社獲得 |

 

3-3. 実際の併用事例

製造業A社の事例:
– ものづくり補助金(生産設備導入): 750万円
– IT導入補助金(生産管理システム導入): 150万円
– 小規模事業者持続化補助金(ホームページ制作): 50万円
– 合計: 950万円

併用可能なパターン③:時期をずらした連続申請

4-1. 年度をまたいだ申請

同じ補助金制度でも、年度が異なれば複数回申請できる場合があります。

連続申請の例:
– 2024年度: ものづくり補助金で750万円(設備A)
– 2025年度: ものづくり補助金で750万円(設備B)
– 合計: 1,500万円(2年間)

 

4-2. 公募回をまたいだ申請

年度内でも、公募回が異なれば複数回申請できる制度もあります。

公募回をまたいだ申請例**:
– 第1回公募: 小規模事業者持続化補助金で50万円(ホームページ制作)
– 第3回公募: 小規模事業者持続化補助金で200万円(設備導入)
– 合計: 250万円(同一年度)

4-3. 注意点

– 制度によっては「同一年度内の複数回申請は不可」の場合がある
– 公募要領で「複数回申請」の可否を必ず確認

 

併用不可のパターンと注意点

5-1. 同一経費への重複受給

NG例: 500万円の設備Aに対して、国の補助金250万円と県の補助金150万円を同時に受け取る

これは「二重受給」として禁止されています。

 

5-2. 国庫補助金同士の併用

多くの国の補助金は、「他の国庫補助金との併用は不可」と規定しています。

NG例:
– ものづくり補助金(国): 750万円
– 事業再構築補助金(国): 1,000万円
– 同じ設備に対して両方を申請

 

5-3. 併用不可の典型例

| パターン | 理由 |
|—|—|
| 同一経費への重複受給 | 二重受給の禁止 |
| 国庫補助金同士の併用 | 公募要領で禁止されている |
| 同一制度への同時申請 | 制度によって禁止されている |

 

最大1,200万円獲得の具体的シナリオ

6-1. 製造業(東京都)のシナリオ

投資計画:
– 総投資額: 3,000万円
– 設備A(生産設備): 1,500万円
– 設備B(検査機器): 1,000万円
– 設備C(IT機器): 500万円

補助金戦略:

| 設備 | 補助金 | 補助額 |
|—|—|—|
| 設備A | ものづくり補助金(国) | 750万円 |
| 設備B | 東京都設備投資補助金 | 300万円 |
| 設備C | IT導入補助金(国) | 150万円 |
| 合計 | – | 1,200万円|

 

6-2. 介護事業(神奈川県)のシナリオ

投資計画:
– 総投資額: 2,500万円
– 施設改修: 1,500万円
– 介護機器導入: 1,000万円

 

補助金戦略:

| 投資内容 | 補助金 | 補助額 |
|—|—|—|
| 施設改修 | 地域医療介護総合確保基金(国) | 750万円 |
| 介護機器 | 神奈川県介護事業者支援補助金 | 300万円 |
| 合計 | – | 1,050万円 |

 

 6-3. 小規模事業者(地方都市)のシナリオ

投資計画:
– 総投資額: 1,000万円
– 設備導入: 700万円
– ホームページ制作: 300万円

 

補助金戦略:

| 投資内容 | 補助金 | 補助額 |
|—|—|—|
| 設備導入 | 〇〇市設備投資補助金 | 200万円 |
| ホームページ | 小規模事業者持続化補助金(国) | 200万円 |
| 合計 | – | 400万円 |

併用申請の実務ポイントと成功事例

7-1. 申請書への記載方法

併用申請する場合、申請書に「他の補助金との併用状況」を正確に記載します。

 

記載例:
「本事業では、設備Aに対してものづくり補助金を申請しており、設備Bに対して東京都設備投資補助金を申請しています。経費は明確に区分されており、重複受給はありません。」

 

 

7-2. 経費の区分管理

併用する場合、経費を明確に区分管理することが重要です。

区分管理の方法:
– 見積書・請求書を設備ごとに分ける
– 会計帳簿で経費を設備ごとに記録
– 実績報告時に経費内訳を明確に示す

 

7-3. 成功事例

製造業B社の成功事例:
– ものづくり補助金(国): 750万円(生産設備)
– 神奈川県設備投資補助金: 300万円(検査機器)
– 横浜市中小企業設備投資助成: 150万円(IT機器)
– 合計: 1,200万円獲得

 

成功のポイント:
– 経費を明確に区分
– 各補助金の公募要領を熟読
– 専門家のサポートを受けた

まとめ:補助金併用で獲得額を最大化するチェックリスト

補助金の併用で獲得額を最大化するためには、以下のチェックリストを活用しましょう。

| チェック項目 | 確認内容 |
|—|—|
| 併用ルールの確認 | □ 公募要領で「他の補助金との併用」の可否を確認したか?□ 同一経費への重複受給を避けているか? |
| 経費の区分 | □ 経費を設備ごとに明確に区分したか?□ 見積書・請求書を設備ごとに分けたか? |
| 申請書の記載 | □ 「他の補助金との併用状況」を正確に記載したか?□ 経費の内訳を明確に示したか? |
| 併用戦略 | □ 国・県・市の補助金を組み合わせたか?□ 異なる事業目的で複数申請したか?□ 時期をずらした連続申請を検討したか? |
| 専門家サポート | □ 併用申請の経験豊富な専門家に相談したか? |

補助金の併用は、適切な戦略を立てることで、補助金総額を大幅に増やすことができます。ぜひ、本記事のポイントを参考に、国・県・市の補助金を組み合わせて、最大1,200万円以上の補助金獲得を目指してください。

 

補助金・助成金申請でお困りの方へ

補助金・助成金の申請は、制度の選定から事業計画書の作成、必要書類の準備まで、多くの専門知識と時間を要します。特に、複数の補助金を併用する場合、それぞれの制度の要件を正確に理解し、経費を適切に区分する必要があります。

実は、多くの社会保険労務士は助成金には詳しくても、補助金の申請支援や併用戦略の策定については十分な経験やノウハウを持っていないケースが少なくありません。また、助成金と補助金では制度の目的も申請プロセスも大きく異なるため、それぞれに特化した専門性が必要です。

当センターでは、各種補助金・助成金の申請支援において、豊富な実績とノウハウを持つ専門家が、あなたの事業計画の策定から申請書類の作成、併用戦略の立案、採択後のフォローまで、一貫してサポートいたします。

 

– 「補助金の併用で獲得額を最大化したい」
– 「国・県・市の補助金を組み合わせる方法を知りたい」
– 「経費の区分方法が分からない」
– 「併用申請の注意点を教えてほしい」
– 「専門家に併用戦略を立ててほしい」

このようなお悩みをお持ちの方は、ぜひお気軽に当センターまでご相談ください。